2021 Fiscal Year Research-status Report
胎生期の葉酸過剰による代謝異常誘導機構:腸バリア機能とDOHaDとの関連
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19K11696
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Research Institution | Sapporo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
金高 有里 札幌保健医療大学, 保健医療学部, 准教授 (80420909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 禎子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (60382438)
田辺 賢一 中村学園大学, 栄養科学部, 准教授 (60585727)
望月 和樹 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (80423838)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 葉酸 / 生活習慣病 / インスリン / DOHaD / フラクトオリゴ糖 / 葉酸過剰 / 胎生期 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、これまで、妊娠期の葉酸(プテロイルモノグルタミン酸型葉酸)の過剰により仔(胎児)において生活習慣病や免疫機能修飾が観察されることを明らかにし、葉酸過剰摂取の健康影響について検討する重要性を見出した。マウスに過剰なプテロイルモノグルタミン酸型葉酸(20倍量)を投与すると、生後インスリンの分泌が低下し耐糖能異常および、肝臓に過剰な脂肪が蓄積することを発見した。このため、葉酸過剰の妊娠マウスから出生した仔を用いて、糖質・脂質代謝異常発症の機序解明が必要と考えた。本研究では、「妊娠期の過剰なプテロイルモノグルタミン酸型葉酸の過剰摂取は、仔の腸内細菌叢の撹乱および腸内細菌代謝産物の変化を介し、腸バリア機能と消化管ホルモンの低下を介し耐糖能異常が誘導される」という仮説をたて、その機序を検証することを目的とした。 検討方法としては、妊娠期に葉酸過剰摂取をさせた母獣から産まれた仔マウスを用いて、離乳後に高ショ糖・高脂肪食を与えて肝臓への脂肪蓄積を惹起させた。また、これらの飼料に難消化性オリゴ質であり腸内細菌叢を改善するフラクトオリゴ糖(FOS)を同時摂取させ、FOSによる影響を検討した。2020から2021年度に飼育して採材したこれらのマウスのサンプルを用いて、糖代謝関連指標、ならびにその機序となる腸バリア機能について検討した。その結果、葉酸過剰摂取をした母獣から産まれた仔マウスに、離乳後の高ショ糖・高脂肪食を摂餌することにより、脂肪蓄積が顕著に惹起し、この蓄積はFOSの同時摂取によって劇的に低下することを明らかにした。さらに、母獣の葉酸過剰摂取によって出生仔の糞便中の腸内細菌叢に変化がみられる可能性が見出された。腸粘膜組織におけるバリア機能測定に関しては、次年度の予備実験を終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者は、本研究の進行途中で所属を異動したため、これに伴って、研究の役割分担などの調整が必要になった。また、新型コロナウイルス感染症への対応により、研究分担者の所属先との移動制限が生じたため、初めの研究計画より遅れが生じた。このため、延長願いを提出し、2022年度に研究を完結させる。
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Strategy for Future Research Activity |
妊娠期のプテロイルモノグルタミン酸型葉酸の過剰摂取は、仔の腸内細菌叢の撹乱および腸内細菌代謝産物の変化を介し、腸バリア機能と消化管ホルモンの低下を介し耐糖能異常が誘導されるという仮説を順次証明している。その中で、腸バリア機能の組織学的検討、およびホルモン分泌との関連について、今年度検討する。腸バリア機能については、本年までに予備実験を終了したので、直ちに測定を開始する。また、母獣の葉酸の過剰摂取は仔のGLP-1低下を介してインスリン分泌を低下させるとともに、GLP-2分泌の低下によって腸の透過性が低下すると考えているが、現時点では確定的な結果を得ていない。このことについては、本年度に検討し、結果を得る。 腸内細菌叢の変化については、葉酸過剰食と普通食の親から産まれた仔の糞便を用いたシーケンサーによる解析によって、いくつかの菌群の変化に傾向がみられた。しかし、n数が少ないため予備的検討にとどまったので、次の科研費において詳細を検討したい。 以上のように、母の妊娠期の葉酸サプリメント摂取が児に及ぼす影響とメカニズムを解明しまとめていく。
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Causes of Carryover |
2021年度中にコロナ禍における実験の実施が難しくなったために実行できなかった解析があった。2021年度中に解析できず、使用できなかった金額を、2022年度に繰り越して使用し、解析を進める。
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Research Products
(4 results)