鉄欠乏による骨・脂質代謝変動とアスコルビン酸摂取量に関する研究

2021 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 19K11701
• Research Institution: Tokyo University of Agriculture
• Principal Investigator: 勝間田 真一 東京農業大学, 応用生物科学部, 准教授 (10424681)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: 鉄欠乏 / 骨代謝 / 脂質代謝 / アスコルビン酸

Outline of Annual Research Achievements

アスコルビン酸合成能欠如ラット（ODSラット）を用いて、鉄欠乏時の骨・脂質代謝変動とアスコルビン酸摂取量との関係について検討することが目的である。昨年度までの研究において、壊血病症状を示さない十分なアスコルビン酸摂取量である300mg/kg dietだけでなく、実験で設定したさらに低い飼料中アスコルビン酸濃度においても、骨密度の低下は観察されなかった。また、十分なアスコルビン酸を摂取させたODSラットへの鉄欠乏食投与は、Wistarラットの結果と同様に骨密度の低下が観察されたことから、鉄欠乏時の骨量減少にはアスコルビン酸合成能の有無による違いはみられないことが示唆された。
そこで本年度は、ODSラットへのアスコルビン酸摂取量を低下させたときの鉄欠乏の影響について検討を行った。その結果、アスコルビン酸摂取量を低下させた場合でも、十分なアスコルビン酸摂取量の時と同様に、鉄欠乏による骨密度の低下が引き起こされることが示された。しかし、アスコルビン酸摂取量の違いによる鉄欠乏時の骨密度低下に対する影響の差異は観察されなかった。これらのことから、壊血病症状を示さないアスコルビン酸摂取量においては、アスコルビン酸摂取量を低下させても鉄欠乏による骨量減少は増強しないことが推察された。また、本研究においては、過去の論文において体重減少が観察されている飼料中アスコルビン酸濃度においても体重減少がみられなかった。この原因については不明であるが、本研究と既報とのラットの週齢の違いや、アスコルビン酸以外の飼料組成の違いも影響している可能性が考えられる。