2019 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の認知機能低下予防とオーラルフレイルおよび栄養の関連性を検証する学際的研究
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19K11702
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
藤原 和美 東邦大学, 看護学部, 教授 (50413414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩原 昭彦 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (30353014)
八田 武志 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 教授 (80030469)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中高齢者 / 栄養 / 高次脳機能 / オーラルフレイル |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は質問紙によるオーラルフレイルスクリーニング問診票、食品摂取状況・栄養状態、および認知機能との関連性について検証を進めている。今年度、320名を対象に検査を実施した。男性140名、平均年齢64.8(SD=10.2)、女性180名、平均年齢62.7(SD=9.9)であった。オーラルフレイルに関する問診票でオーラルフレイルと関連が高いとされる残歯数20本以上に「はい」と回答したグループと「いいえ」と回答したグループについて食品に関する咬合力について比較を行った。また、高次脳機能について比較検討を実施した。咬合力では残歯数20未満と回答したグループで、左右両側の歯では噛みにくく、肉類、さきいか・たくあん、生のにんじん程度の硬さになると噛みにくさが高くなる傾向が認められた。また、高次脳機能検査として(1)S-MMSE検査(short-Mini Mental State Examination)は認知機能の指標として測定した。(2)情報処理速度および注意機能と実行系機能検査としてD-CAT検査(Digital Cancellation Test)を用いた。3文字抹消条件を分析対象とした。(3)注意機能と実行系認知機能検査としてStroop検査を用いた。できるだけ早く正確に印刷色名を呼称することを求めた。分析には反応時間を用いた。(4)空間認知検査項目として、Butters らによって開発されたMoney道路図を用いた。対象者は描かれた線分を道路とみなし左右どちらに曲がるかをイメージして回答することが求められた。残歯数での20本以上、未満の2グループ間でt検定を行った結果、すべて残歯数が20本以上のほうが有意に高い結果となった(p<.000~.043)。今後、食品摂取および栄養状態との相互関連について検証を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和元年度は、対象は「Yakumo Sutdy(八雲研究)」と称され当該である町と共同で実施される住民健診において研究への協力が得られた40歳以上の住民を対象として検査を実施した。実施内容としては、①質問紙調査 ;オーラルフレイルスクリーニング問診票、② 食品摂取状況;摂取食品名、摂取頻度は日常生活調査票によるアンケート調査、③ 栄養状態検査、④ 高次脳機能(MMSE,記憶、空間認知、注意、実行系機能等)であり、321名の検査を実施した。 本研究の意義である、口腔機能に関する客観的調査については、多人数を対象とする検査は初めてのため来年度の実施にむけて、安全で受診者に負担のない方法を現地で検討した。現地で町関係機関および研究者への説明と協力のお願いを行った。代表者を通じてYakumo Study(八雲研究)にかかわる内科・整形外科・耳鼻科・眼科・泌尿器科・心理学(高次脳機能)の各科への了解と実施主体である町への丁寧な説明と了解を得た。さらに咬合力の測定検査(舌圧測定- JMS舌圧測定器)、滑舌検査(オーラルディアドコキネシス)については、現地で検査のデモを行い、所要時間、対象者への負担、正確な検査の実施について共同研究者と確認を行った。多人数での住民健診での実施に向けて、検査の安全性と正確な検査の実施、他の検査の所要時間、流れについて確認し2020年度実施の準備を行った。当初の予定では初年度より客観的検査についても健診にて実施予定であったが、検査の安全性と正確さ、受診者の負担への配慮および「Yakumo Sutdy(八雲研究)」に関わる多くの研究者へのより丁寧な説明と理解が、今後の研究遂行にとって重要と考え実行した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度より計画どおり質問紙とあわせて、今年度にデモを実施した口腔機能に関する咬合力の測定検査(舌圧測定-JMS舌圧測定器)、滑舌検査(オーラルディアドコキネシス)高次脳機能(MMSE,記憶、空間認知、注意、実行系機能等)の測定もふくめて実施予定であったが、新型コロナの感染予防の観点から2020年Y町住民健診の中止が決定された。今年度、大規模健診での調査が困難となった。現在、7月以降、他の健診で口腔機能をふくめた健診実施について検討中である。 どの健診であっても感染予防が最大の課題となる。健診受診者の蜜を避ける為、健診受診時間を振りわけること、および検査実施上における感染予防である。特に口腔機能での舌圧検査であるため飛沫、唾液等に関する注意と処理が重要と考える。マスク、手袋、ディスポエプロン、フェイスシールド、ゴーグルの準備を行い、舌圧測定に用いた個人のディスポ用品に関しては各人で廃棄用袋に投入するなど細かな手順を作成し感染予防を徹底した上で実施する方向である。
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Causes of Carryover |
本研究の意義である、口腔機能に関する客観的調査については、多人数を対象とする検査は初めてのため来年度の実施にむけて、安全で受診者に負担のない方法を現地で検討した。現地で町関係機関および研究者への説明と協力のお願いを行った。代表者を通じてYakumo Study(八雲研究)にかかわる内科・整形外科・耳鼻科・眼科・泌尿器科・心理学(高次脳機能)の各科への了解と実施主体である町への丁寧な説明と了解を得た。よって、今年度は現地でのデモ実施のみであったため、ディスポで一人づつ使用する舌圧グローブの購入費が次年度に持ち越しとなっている。次年度は、オーラルフレイルの個別検査に使用する舌圧ブローブ、質問紙用紙、調査旅費、および関連書籍と合わせて、感染予防への配慮で新たな防御用品の購入も行い安全で正確な検査実施に努めたいと考える。
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