2021 Fiscal Year Annual Research Report
Impact of nutrition therapy with medium-chain triglyceride for vascular failure of TGCV
Project/Area Number |
19K11705
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
中野 雄介 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (50634838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 哲也 愛知医科大学, 医学部, 教授 (80314003)
平野 賢一 大阪大学, 医学系研究科, 特任教授(常勤) (30332737)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | TGCV / 臨床転帰 / PCI成績 / 心血管イベント |
Outline of Annual Research Achievements |
TGCVでは、中性脂肪蓄積型の冠動脈硬化を呈する.本研究では、中鎖脂肪酸による特異的栄養療法が、TGCVにおける中性脂肪蓄積型の冠動脈硬化の進展やステント再狭窄に対する抑制効果を有するのかどうかを、血管内超音波や光干渉断層像を用いて明らかにすることを目的としている. これに先駆け、TGCV症例を探索するため、前年度に引き続き別の特定患者集団における潜在率を検討した.それによると、維持透析を要する症例の中では20%近くTGCVが潜在していることが判明した(Heart誌 2021).さらに、その維持透析合併TGCV症例の中で、冠動脈疾患に対してステント治療を行った際の成績および予後を検討した.それによると、維持透析合併TGCV症例のTGCV 12例 vs control 21例におけるPCI後成績は、ステント内遅発性内腔損失(Late-loss)1.20mm vs 0.50mm、ステント再狭窄58.3% vs 9.5%であった(Heart誌 2021).また、TGCV 13例 vs control 23例におけるPCI後1年の予後(心血管死 or 非致死性心筋梗塞 or 緊急再血行再建)は、60% vs 20%であり、カプランマイヤーによる予後曲線では有意にTGCV群でイベントが多い結果を示した(AHA scientific sessions 2021). これらのいずれの結果も、前年度までに示された糖尿病合併TGCV患者に対するPCI治療成績よりも不良な結果であり、臨床的感覚を裏付ける結果となった.これらにより、PCI治療がTGCVに対しては奏功しないという臨床データを示すことが出来た.本知見は、中鎖脂肪酸による栄養療法のステント再狭窄に対する抑制効果を検討するうえでの未治療群のデータとして、さらには中鎖脂肪酸を含む医薬品の開発における第3相治験において必要症例数産出において重要なデータとなった. また、主目的に関しては、現段階ではTGCVに特異的な動脈硬化性病変を血管内超音波や光干渉断層像により同定できないことが分かったため、現在、冠動脈CTを用いた同様の評価を検証中である.
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