2021 Fiscal Year Research-status Report
The proposal of Qunolinic acid induced chronic kidney disease (CKD) model and the search of bioactive compounds with preventive effect in CKD
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19K11706
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
小林 謙一 ノートルダム清心女子大学, 人間生活学部, 教授 (80434009)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | キノリン酸 / 慢性腎臓病 / 腎線維化 / トリプトファン代謝 / ポリフェノール / ヒドロキシチロソール |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,キノリン酸の体内蓄積が腎細胞における受容体に及ぼす影響について,NMDA受容体(NR)サブユニットに焦点を当てて解析を行った。まず,60週齢のQPRTノックアウトマウス(野生型5匹,Homo型5匹)の腎組織を用いキノリン酸の抗ハプテン抗体を用いた免疫組織化学実験(IHC)を行った。その結果,Homo型で近位や遠位尿細管上皮細胞の細胞膜上と細胞内にQAの陽性像が確認された。次に,昨年度の結果より腎臓におけるNRに変動が認められたことから,そのことを培養細胞レベルで検討するために, ヒト腎尿細管上皮細胞由来細胞株(HK-2)を用いて,キノリン酸添加がNRサブユニット遺伝子(NR-1,2A,2B,2C,2D,3A)の発現量に及ぼす影響について検討する目的で,定量的PCRを行った。その結果,QA 500μM以上の処理でNR1,NR2B,NR2C,NR2Dの有意な減少が認められた。以上のことから,本マウスにおけるQA蓄積型腎線維化には腎NRが関与している可能性があると示唆された。 加えて,その他のキノリン酸の候補受容体である芳香族炭化水素受容体(AhR),キノリン酸と相互作用する最終糖化産物受容体(RAGE)に及ぼす影響について,HK-2細胞を用いて解析した。その結果,キノリン酸を添加したHK-2細胞では,AhRや標的遺伝子(CYP1a1,CYP1b1),RAGEにおいて有意な減少が認められた。この結果より,キノリン酸はヒト近位尿細管細胞に存在する3受容体に関与する可能性が示唆された。 また,培養細胞を用いた腎線維化抑制因子に影響を及ぼす食品因子の候補成分の探索も継続的に進めてきた。本年度は,上皮間葉転換(尿細管上皮細胞などが形質転換)に着目して,HK-2細胞を用いて,オリーブ葉ポリフェノール添加が線維化に及ぼす影響を検討した。しかし,検討を十分に行うことができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度も、新型コロナウイルス感染症流行による様々な措置やそれらへの対応に追われ、全体的に研究計画に著しい遅れが生じた。QPRTノックアウトマウスを用いた解析については、腎線維化におけるNMDA受容体が果たしている影響についての解析を進めることができた。また、培養細胞モデルでもキノリン酸蓄積がNMDA受容体に影響を及ぼす可能性が示唆された。これらは、現在あまりわかっていない腎NMDA受容体の役割についても踏み込むことができたと考える。 加えて、培養細胞実験系を用いた腎線維化抑制効果を有する成分の探索についても、当初の計画から著しい遅れが生じている。2021年度は、上皮間葉転換(尿細管上皮細胞などが形質転換)に着目して、腎線維化抑制効果がある機能性食品成分の健闘を行った。しかし、オリーブ葉ポリフェノールの内のヒドロキシチロソールについて検討を開始したものの、十分な検討を行うことができなかった。 上記より、2021年度で完了予定であった本研究課題をもう1年延長する判断をした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、3年目の結果を踏まえ、キノリン酸蓄積による腎線維化の分子メカニズムを最終的に明らかにするために、培養細胞を用いた解析(NMDA受容体、RAGE ,各種サイトカインへの影響)をさらに継続する予定である。またキノリン酸蓄積型培養細胞モデルの構築に関しては、ヒト尿細管由来細胞株であるHK-2細胞を用いて、キノリン酸蓄積型腎線維化モデルの構築を今年度中に完了したいと考えている。 最後に、培養細胞を用いた腎線維化抑制効果を有する食品成分の探索については、候補食品成分の絞り込みを行う予定である。HK-2細胞およびNRK49F細胞を用いた線維化抑制機能性食品成分の探索については、①オリーブポリフェノールに関しては、オレウロペインとその代謝産物ヒドロキシチロソール、チロソール、③コーヒーポリフェノールに関しては、クロロゲン酸、コーヒー酸、キナ酸について解析し、QPRTノックアウトマウスを用いた食品評価実験の糸口を見出していきたい
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Causes of Carryover |
2021年度については、2020年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症拡大により、予定の出張がすべてなくなったことと、研究活動の大幅な制限によりその他(雑費)の支出が激減したことによる。2022年度に関しては、物品費が大きなウェイトを占める予定である。具体的には、動物実験関連消耗品(餌、床敷、ケージ、給水瓶など)、培養細胞実験関連消耗品(CO2ボンベ、液体窒素、培養ディッシュ、プラスチック製品、血清など)、培養細胞株、分子生物学実験関連消耗品(リアルタイムPCR関連試薬類、プラスチック製試験管ならびにピペットなど)、生化学実験消耗品(各種抗体、ウェスタンブロッティング関連消耗品など)、組織学的実験消耗品(染色バット、染色液、抗体など)を購入予定である。出張費に関しては、国内学会で発表などを行うことを想定している。その他の雑費については、一部解析の受託解析費用および論文の投稿費用などを念頭にいれている。
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Research Products
(6 results)