2020 Fiscal Year Research-status Report
高品質な培養ヒト筋細胞を用いたサルコペニアの予防・治療法の開発
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19K11710
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
周 赫英 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (50750080)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 筋衛星細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋は優れた再生能を有しており、その再生は筋衛星細胞と呼ばれる筋幹細胞が担っている。ヒト由来の筋幹細胞の単離・培養技術は筋の再生や病態研究に役立つだけでなく、移植再生医療への応用も可能になると考えられる。我々はFACSを用いた細胞表面マーカーの組み合わせによるヒト筋幹細胞の単離法を確立している。しかし、このように純化したヒト筋幹細胞でも、その品質には「ばらつき」が存在する。 より高品質なヒト筋幹細胞の濃縮を目指ため、分化能の異なる提供者由来のヒト骨格筋前駆細胞の網羅的遺伝子発現解析を実施した結果、Pax7の発現と同様の変動を示す複数の因子を同定した。それら因子の遺伝子発現、タンパク発現を比較し、さらに遺伝子をノックダウンすることによるmyogenesisへの影響を検討した。なかでは特に転写因子SOX11の発現はヒト筋幹細胞の品質の優劣に比例した。また、SOX11遺伝子のknockdownによって筋分化は促進する傾向にあった一方で、reserve細胞の形成は低下した。これらから、SOX11はヒト筋幹細胞の未分化性に関与する可能性が示唆された。筋分化後のSOX11の発現は増加したが、分化した核内には局在していないことから機能的な発現では無い可能性が考えられた。 また、幹細胞性の指標であるPax7の発現レベルとよく相関する細胞表面マーカーも見出した。複数の品質のばらつくヒト骨格筋前駆細胞において、本マーカーの遺伝子発現、タンパク発現レベルは、細胞の分化能と強く相関した。さらに、本マーカーの発現が元々高い高品質ロットを、本マーカーの発現レベルに応じて高発現分画と低発現分画にさらに分離したところ、高発現分画でPax7の発現がより高く、分化能も高かった。以上から、本マーカーの発現レベルを指標に高品質なヒト筋幹細胞を濃縮することが可能になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
筋衛星細胞表面マーカーの発現レベルは細胞の分化能を反映することを確認した。より効率的に高品質なヒト筋幹細胞の濃縮につながると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
さらにin vitro、in vivoの両面で、該当筋幹細胞表面マーカーが筋再生への作用を確認し、機能解析を行う。
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