2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on mental stress management using near-infrared irradiation around the stellate ganglion
Project/Area Number |
19K11712
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
吉田 英樹 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (20400145)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 星状神経節 / 近赤外線 / 電気刺激 / ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度については、研究の第1段階として健常者を対象に、与えられたストレス負荷を非侵襲的な電磁エネルギー(光線、電気刺激)を活用した物理療法介入により即時的に是正可能か実験的に検討した。実験では、健常者17名を対象として以下の2つの実験を実施した。実験1:対象者に対して、10分間の安静座位(馴化時間)を取らせた後、精神的ストレス負荷として15分間を内田クレペリン検査を実施し、その後に星状神経節への光線(近赤外線)照射を10分間加えた。実験2:対象者に対して、実験1と同様に馴化時間終了後に精神的ストレス負荷を与えた後、光線照射を伴わない安静を10分間取らせた。実験の評価指標として、心拍変動に基づく交感神経活動動態、前頭前野の脳血流量、総合的感情指標の変化を実験間で比較した。その結果、実験1では実験2と比較して、交感神経活動の有意な低下と前頭前野の脳血流量の低下傾向が認められた。一方、総合的感情指標については実験間で違いはなかった。以上の結果から、星状神経節への光線照射はストレス軽減に効果的である可能性が示唆された。 さらに、別の実験として、健常者13名を対象として、対象者の両側後頸部に電極を貼付し、国際疼痛学会の定義に基づく感覚レベルでの電気刺激(筋収縮なし、周波数100Hz)と運動レベルでの電気刺激(筋収縮あり、周波数3Hz)を30分間実施した際の心拍変動に基づく交感神経活動動態と主観的なリラクセーションの程度を検討した。その結果、感覚レベルでの電気刺激と比較して運動レベルでの電気刺激では交感神経活動の抑制効果が高く、かつ主観的なリラクセーションも得られやすい傾向が認められた。以上の結果から、感覚レベルでの電気刺激よりも運動レベルでの電気刺激の方がストレス軽減に効果的である可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿って概ね進行できているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度の健常者を対象とした研究結果から、星状神経節への光線照射や電気刺激によりストレス軽減が得られる可能性が認められた。この結果を受けて、今後は日常的なストレス暴露下にある人(入院中の患者など)を対象とした実践的な検討が課題となる。また、電気刺激に関しては、星状神経節への光線照射と比較して運動中のような安静を保てない状況下にある対象者に対しても容易に実施可能であるため、リハビリテーション場面などを想定した運動中の対象者の運動に伴うストレスの軽減に応用することも考えられる。2020年度以降の研究では、以上のような観点から研究を進める予定である。
|
Causes of Carryover |
余剰金が生じた理由は、当初、購入を予定していた物品を購入することなく研究を遂行することができたこと、さらに旅費についても当初の予定を下回る出費となったことによる。 翌年度では、研究の遂行に必要な物品の購入の他、研究成果の学会発表および論文投稿の際に翌年度分として請求した助成金と合わせて使用する予定である。
|