2019 Fiscal Year Research-status Report
食餌誘導性非アルコール性脂肪肝炎ラットモデルの開発と汎用化に向けて
Project/Area Number |
19K11721
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
大曲 勝久 長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (90244045)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非アルコール性脂肪肝炎 / ラットモデル / 食餌誘導性 / 飼育開始時期 / 高脂肪・高コレステロール食 |
Outline of Annual Research Achievements |
5、9、13週齢雄性Splague-Dawley(SD)ラット(それぞれ6匹)に高脂肪・高コレステロール(HFC)食を9週間摂取させた。終体重や総摂取エネルギー量、肝臓重量/体重比、睾丸周囲脂肪重量/体重比は3群間に有意差はみられなかったが、飼育期間中の体重増加量と食餌効率は若齢群が有意に高値であった。血清トリグリセリド、総コレステロール、グルコース、インスリン、レプチン、ALT、AST、遊離脂肪酸、肝臓脂質濃度は3群間に有意差はみられなかったが、血清アディポネクチン濃度は若齢群が他の2群と比較して有意に高値であった。病理組織学的検討では、3群ともに67~83%のラットがNASHと判定された。脂肪沈着や小葉内炎症、肝細胞の風船様腫大、NASスコアは3群間に有意な差はみられなかった。また、肝線維化は非若齢群に強い傾向がみられた。肝組織中のmRNA発現量では、肝線維化の指標であるTGF-β、炎症の指標であるNF-κB、酸化ストレスの指標であるHO-1やMn-SODにおいて週齢が遅い方が有意に高値であった。また、肝線維化の指標であるα-SMA、炎症の指標であるIL-1β、酸化ストレスの指標であるGPX-1、脂肪酸代謝の指標であるFASやGPAT1のmRNA発現量も有意差はなかったものの週齢の遅い方が高い傾向にあった。 以上のことから、5、9、13週齢のいずれの週齢からHFC食を9週間与えてもNASHモデルを作成できることが明らかになった。また、有意差はみられなかったものの、成年期以降のHFC食といった食習慣が若年期からの食習慣よりもNASHを発症しやすいと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに我々が確立した上記のラットモデルは9週齢からの給餌モデルであったが、給餌開始時期を変えても同様な病変を発現できることを確認したことにより、NASH発症モデルの汎用化に繋げるとともに、年齢(加齢)とNASHの発症や進展との関連を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり、異なるラットの系統でも同様なNASHモデルを作成できるかを検討する。また、食餌開始時期をさらに遅くした場合での検討も実施する予定である。
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