2020 Fiscal Year Research-status Report
食餌誘導性非アルコール性脂肪肝炎ラットモデルの開発と汎用化に向けて
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19K11721
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
大曲 勝久 長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (90244045)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非アルコール性脂肪肝炎 / ラットモデル / 食餌誘導性 / 高脂肪・高コレステロール食 / Wistar/STラット / Splague-Dawleyラット |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度使用したSplague-Dawley(SD)ラットと並んで汎用されているWistarラットにおいても、9週齢から9週間高脂肪・高コレステロール食を与えて、SDラットと同様な病態を呈するのかを検討した。18週齢時に採取したSDラットおよびWistar/STラットの血清および肝臓組織を用いて糖代謝や脂質代謝に関連する血液・生化学的マーカーおよび肝臓内の中性脂肪やコレステロール量、酸化ストレスや脂質代謝、炎症、線維化に関連する酵素のmRNA発現量を測定した。その結果、Wistar/STラットにおいても高率(84.6%)に肝線維化を伴う非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を発症し、インスリン抵抗性とともに、線維化や炎症に関連する遺伝子発現が亢進していることが明らかとなった。しかし、Wistar/STラットは同様なプロトコールで飼育したSDラットに比べて血清学的および組織学的にNASHの程度が軽かった。以上のことから、ヒトにおいても肥満を呈しない「非肥満」のNASH患者が一定の割合で存在するが、このWistar/STラットモデルは「非肥満のNASH(いわゆるlean NASH)」の病態モデルとなり得ることが示唆された。 以上より、我々が確立した0.5%コール酸を含む高脂肪・高コレステロール食によるラットNASHモデルは、ラットのストレインを超えた普遍的なNASH動物モデルとなり得る可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高脂肪・高コレステロール食による食餌誘導性動物NASHモデルは、飼育開始時期(特に幼齢期)に加えて、実験ラットのストレインに関わらず作成できることが明らかになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、飼育開始時期を遅くして、ヒトでの青~壮年期における食餌誘導性ラットモデルが作成できるか検討する。さらに、NASHの発症予防に寄与することが期待される食品を与えて、その効果が立証できるかを確かめ、この動物モデルの有用性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
今年度は新型コロナウィルス感染症の流行により、予定していた学術集会への参加ができなかったため。次年度は当該学術集会へのオンライン参加も含めた出席を計画している。
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Research Products
(2 results)