2021 Fiscal Year Research-status Report
感音性難聴の予防に関する新規プレバイオティクス効果の探索
Project/Area Number |
19K11727
|
Research Institution | Nagoya Women's University |
Principal Investigator |
近藤 貴子 名古屋女子大学, 健康科学部, 講師 (60737203)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鵜川 眞也 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (20326135)
田辺 賢一 名古屋女子大学, 健康科学部, 講師 (60585727)
稲垣 彰 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (70405166)
三好 規之 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (70438191)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | プレバイオティクス / 感音性難聴 / フラクトオリゴ糖 / 聴覚機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
感音性難聴の発症・進行には、食生活、酸化ストレスおよび生活習慣病など様々な要因が影響することがわかっている。ただし、腸内環境を改善する ことで宿主に有益な効果をもたらす難消化性食品成分である「プレバイオティクス」が感音性難聴に有効であるかは未知である。2021年度の計画では、早発性進行性難聴モデ ル(DBA/2Jマウス)を用いて、プレバイオティクスであるフラクトオリゴ糖(FOS)を投与し難聴進行抑制を検討するためにABR検査を用いた機能的解析をする予定であった。しかしながらコロナ感染対策に伴う共同研究の実施困難など動物実験が実施できなかった。また、動物飼育の拠点変更のため、本年度は施設利用の手続きなどを行った。そのため、早発性進 行性難聴モデルの既存サンプルを用いて、聴覚神経に発現するたんぱく質レベルでの解析に留まり、1年の延長申請を行った。本年度の計画であった機能的解析は実施 できなかったが、ABR機器の整備や手技取得が完了した。 その他、FOSが短鎖脂肪酸の増加を介して感音性難聴に影響しているのかを検討するために(1)FOS摂取有無の群間で内耳の有毛細胞や聴覚神経に発現する短鎖脂肪酸に関連するたんぱく質を免疫染色した。 (2)FOS摂取有無の群間で内耳の聴覚神経生存率の違いを確認するため、脳幹試料を用いて短鎖脂肪酸に関連するマーカー(FFARsなど)を用いて定量的解析を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、フラクトオリゴ糖(FOS)が誘導する腸内細菌叢を介する聴力機能の制御について、感音性難聴モデルマウスを用い解析することを目標としている。3年間の研究期間において、 計画1:FOSによるプレバイオティクス効果を介した感音性難聴の進行抑制効果 計画2:発症前の継続的なFOS摂取による加齢性難聴の発症の未然防止または遅延効果 計画3:プレバイオティクスを介した内耳の聴覚遺伝子群のエピジェネティック制御 を明らかにする。 3年間で早発性進行性難聴モデルマウスDBA/2Jを用いた生化学的解析(PCR,菌叢解析、盲腸解析など)である計画1は完了し、 Prebiotic effect of fructo-oligosaccharides on the inner ear of DBA/2 J mice with early-onset progressive hearing loss.が J Nutr Biochem. に受理された。ただし、計画2と3の加齢性難聴の発症の未然防止または遅延効果の解析および機能的解析(聴性脳幹反応)が、動物飼育拠点の変更に伴い予定通りに進んでいない。
|
Strategy for Future Research Activity |
フラクトオリゴ糖(FOS)摂取により誘導された腸内細菌叢が、細菌由来代謝物の量的・質的な変化を介して聴力低下の発症・進行を抑制できるのかを明らかにする。2021年度に機能解析の確立が完了できたことより、腸内細菌叢の経時的変動と聴覚機能の維持が相関しているのかを明確にするため、腸内細菌叢解析(Nephele)と聴覚機能解析(聴性脳幹反応 ABR)による研究を中心に進めていく。腸内細菌変動および内耳の遺伝子発現の変動が明確になってきているDBA2Jマウスを用いた解析を進め、聴力機能低下抑制の効果を検討する。発症抑制効果の検証は聴力低下が未発症な3カ月齢のC57BL/6Jを用いて行う予定であるが、聴力機能の明確な差異が検証できるかは未知である。
|
Causes of Carryover |
昨年度および本年度実施する予定であった動物実験および聴覚機能検査を開始できなかったため、動物購入費や試薬類の購入ができなかった。延長申請をしたことより、翌年度分として請求した助成金は動物購入費、維持費および機能検査解析とそれに伴う試薬(PCR関連と抗体など)の購入費を中心に使用する。
|