2019 Fiscal Year Research-status Report
補酵素PQQで惹起されるレドックスシグナルによる細胞外マトリックスリモデリング
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19K11728
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
笹倉 寛之 愛知医科大学, 医学部, 特別研究助教 (50751616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武内 恒成 愛知医科大学, 医学部, 教授 (90206946)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 細胞外マトリックス / 傷創傷・再生 / レドックス / 糖鎖生物学 / dual oxidase / コンドロイチン硫酸 / コラーゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞外マトリックス(ECM)は組織・器官の発生・形態形成・維持に重要な機能を担う。従来ECMは静的な構造体であると考えられてきたが、ECMリモデリングとよばれる動的な変化により多彩な生命現象に積極的に関与している。本研究はECMリモデリングのメカニズム解明を目指したものである。 初年度は、実験系構築と基盤技術の整備に力を注いだ。以下に内容を記す。1) ECM主要な分子として、コラーゲンと糖鎖が挙げられる。種々の細胞株に、PQQ(ピロロキノリンキノン)を添加し、Type Iコラーゲーン、コンドロイチン硫酸合成酵素(CSGALNACT1)の発現が誘導されるかを RT-PCR により検討した。複数の細胞株で、両者の発現誘導が確認された。濃度依存性を調べたところ、低濃度PQQで発現誘導され、高濃度では誘導されないことが分かった。2) PQQが惹起するレドックスによるECM動態を解析する上で、薬剤・阻害剤添加、レドックス量測定、遺伝子・タンパク質解析を同時に定量的に行うことが可能な培養細胞モデル系は有用なリソースとなる。共培養細胞凝縮系の確立を行なった。この系では数日かけて細胞凝集が成長し、それとリンクしてコンドロイチン硫酸の濃縮が観察された。コンドロイチン硫酸をアンチセンスオリゴで不活化すると細胞凝集が小さくなった。この系を創傷後の瘢痕形成の細胞モデルと考え、今後の解析を行う。3) dual oxidase から産生される活性酸素であるH2O2 は、傷創傷・再生の起点となることが知られている。本代表者らはPQQが、dual oxidaseを活性化することを報告している。PQQの化学誘導体を作成し、H2O2産生が高くなる物質の探索を行った。誘導体の一つは、PQQより若干高いH2O2産生能を示し、哺乳類細胞株、マウス個体に対する毒性がPQQに比べて大幅に軽減されていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、実験のリソースと基盤技術を整備するという基本方針に沿って研究を進めた結果、概ね順調に進展させることができた。 ECMの主要分子であるコラーゲン、コンドロイチン硫酸がPQQによって発現誘導されることを確認し、ECMリモデリングを研究する上での細胞モデル実験系の確立ができた。また、予想外の発見としてPQQと同等あるいはより dual oxidase 活性化能が高く、かつ細胞・個体毒性が格段と低い化合物の同定をした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に整備した実験系、リソースを基盤に、細胞モデルを用いてECMリモデリングの研究を行っていく。さらにマウス、線虫を用いた個体レベルの解析を行っていく。PQQの誘導体の一つが、PQQと同等あるいはより強い dual oxidase 活性化能を示し、PQQよりはるかに毒性が低いことを見出した。活性を維持したまま毒性を軽減した物質は栄養学的に大きな意味を持つので、この物質の探究もしていく。
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Causes of Carryover |
当初、計画していた経費の 93%を使用し、初年度の研究を行えることができた。初年度の繰越された経費と二年度に計上した経費を合算して、細胞生物学実験、線虫・マウスの個体を用いた研究を行う。
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Research Products
(2 results)