2021 Fiscal Year Research-status Report
補酵素PQQで惹起されるレドックスシグナルによる細胞外マトリックスリモデリング
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19K11728
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
笹倉 寛之 愛知医科大学, 医学部, 特別研究助教 (50751616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武内 恒成 愛知医科大学, 医学部, 教授 (90206946)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | PQQ / 細胞外マトリックス / 糖鎖 / 再生環境 / 脊椎損傷 / 化学誘導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 昨年度までの研究で、PQQ化学誘導体の一つが細胞株・マウス個体への過剰投与の毒性を軽減することを示した。本年度はその要因を追求した。PQQ大量投与により腎臓障害を誘発するが、誘導体投与個体では腎臓障害がみられなかった。誘導体が腎障害を回避することが、個体に対する毒性を軽減させる一因であることが明らかになった。 2) 細胞外マトリックスにおけるコンドロイチン硫酸の機能、コンドロイチン硫酸とコラーゲンとの機能相関を解析する上で、局所的にコンドロイチン硫酸の産生を抑制する技術は、大きなアドバンテージになる。そのためコンドロイチン硫酸合成酵素(CSGalNAc transferase1)のアンチセンスオリゴによる不活化を行った。培養細胞を用いてアンチセンスオリゴによるCSGalNAc transferase1の mRNAの発現抑制、コンドロイチン硫酸量の減少を確認した。脊椎損傷の系を用いた in vivo においてもmRNAの発現抑制、コンドロイチン硫酸量の減少を確認され、脊髄損傷からの機能回復が観察された。 3) 神経系で機能する補体分子C1qは神経シナプス機能に重要な役割をはたす(Matsuda et.al.,Neuron (2016))。今回、細胞外マトリックスのリモデリング解析の過程でC1qを解析し、マトリックスリモデリングの重要性を明らかにした。このC1q の解析を契機に別のファミリー分子Cbln1をもと にプレシナプスとポストシナプスを結合する人工タンパク質CPTXが作成された。このシナプスコネクターCPTXを利用することで様々な神経機能において劇的な再生能を果たすことを明らかにした(Suzuki, Sasakura et al., Science, 2020)。引きつづきCPTXによる細胞外マトリックスにおけるシナプススキャホールドの解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までの in vitro 中心の実験から vivo の実験に移行できた。PQQ誘導体の研究に関して多くの整合性があるデータが得られ、論文化できる段階まで達することができた。また研究の想定外の展開からCPTX機能解析によるScience誌の co-1st author としての論文掲載につながる大きな成果を得ることができた。全体として研究の進捗は概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
PQQ誘導体に関して予想外であるが整合性のあるデータが多数得られた。論文化が可能の段階にある。出版にむかいたい。
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Causes of Carryover |
本研究で得られた結果の論文出版費用として次年度使用額を計上した。
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Research Products
(3 results)