2019 Fiscal Year Research-status Report
The effects of in-uterine environment on infant health other than birth weight
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19K11735
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
河合 智子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 周産期病態研究部, 室長 (40423404)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 胎児発育 / 臍帯血エピゲノム / 妊娠期体重増加量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究事業の課題の目的は、子宮内環境の児への影響を、新生児期のエピゲノムを指標に評価するためのマーカーとなるエピゲノム異常を同定することである。本研究目的と同様の研究目的で、ヨーロッパの研究グループを中心とした様々なコホート研究の何千人規模のメタ解析では、臍帯血を対象に出生体重や、在胎週数、妊娠前のBMIと関連するゲノム内の特定の場所のDNAメチル化変化がそれぞれ報告されている。妊娠期体重増加量については現在のところない。DNAメチル化率をゲノムワイドに4あるいは8万か所測定するビーズアレイ(イルミナ社)を使用した結果が解析の対象となっている。 本研究課題では、日本人集団を対象に臍帯血のエピゲノムで、子宮内栄養環境を左右する母体の妊娠中の体重増加量の影響を検討した。メタ解析で使用されている8万か所検出できるアレイを使用した。日本人は妊娠前の体格も妊娠中の体重増加量も欧米のコホートの対象者らとは異なるため、日本人独自のコホート研究結果は重要であると考える。 妊娠期体重増加量の影響をできるだけ正確に評価するために、それ以外の要因の影響を排除することを目指し、37週以降の正期産のみで妊娠合併症歴無し、を対象とした。妊娠前にBMI>25の肥満に値する対象者はいなかった。結果として、妊娠期体重増加量が不十分であることと関連するメチル化変化を示す場所を同定し、その中で血球のエピゲノム変化として重要と考えられる箇所を1か所抽出した。該当の箇所のメチル化変化は、在胎週数が短いことと関連して変化する場所と同じであった。本研究対象者らが出産した児の体重は正常であった。一方で、正期産、かつ、正常出生体重であっても臍帯血エピゲノムは在胎週数が短い≒成熟度の不足を示唆していた。今後は栄養素ごとに妊娠中の栄養不足の影響が及ぼすエピゲノム変化の解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
公的に利用可能なさまざまなエピゲノムデータベースを活用することで、スクリーニング結果の中から意義のある変化を抽出することに成功したと考える。また、検出系についても、これまでより詳細な情報を取得するために改良法を採用することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
発生の過程においてエピゲノム制御に重要と考えられている栄養素の候補の中から、妊娠期体重増加量の不足に関連が深いと考えられる栄養素を一つ絞り、妊娠中の単一栄養素不足モデルマウスを作製し、新生仔のエピゲノムに及ぼす影響を解明する。細胞レベルでも単一栄養素不足がエピゲノムに及ぼす影響を確認する。
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Causes of Carryover |
マウス実験の進捗に計画より遅れをとっていることと、次年度にこれまでの検体をまとめて解析する計画を立てているため。次世代シーケンサーを用いた解析に高額をようするため、そちらに使用予定である。
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Research Products
(1 results)