2020 Fiscal Year Research-status Report
SIRT1による糖質嗜好性制御の脳内メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K11738
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松居 翔 京都大学, 農学研究科, 助教 (80739673)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Oxytocin / FGF21 / 嗜好性 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖質は食行動の引き金として強力に作用し、必要以上のエネルギー摂取をもたらすことで、肥満発症の要因になる。肥満症に用いられる治療薬は、中枢・末梢神経系や心臓に対する重篤な副作用が多く認められる。本研究は、オキシトシンニューロンのタイプや投射先の脳領域を特定することで、糖質嗜好性が原因となる肥満症に対して、より特異性が高く副作用の少ない抗肥満薬の開発につながることが期待される。これまでに申請者は、糖質嗜好性を制御するオキシトシンニューロンの活性をFGF21が制御することを明らかにしている。他方、オキシトシンニューロンは脳内の様々な部位に投射するが、糖質嗜好性を担う投射先については未解明である。そこで、Cre依存的にDREADD(hM4Di)-mCherryを発現する逆行性ウイルスベクターを用い、投射先ごとにOXT-CreマウスのOxtニューロンのラベリングを行った。その結果、脳内報酬系に関与する側坐核、腹側被害野にオキシトシンニューロンが投射していることが明らかになった。また、ラベルリング後のマウスにクロザピン(DREADDを活性化させるリガンド)をi.p.投与し、ラベリングされたオキシトシンニューロンの活性を抑制させた。その結果、クロザピン投与群では、投与していない群に比べて、糖質に対する欲求が増加することが明らかになった。本研究の成果は、糖質の過剰摂取により誘発される肥満・糖尿病をはじめとする生活習慣病に対する新たな治療法の開発に繋がる可能性を秘めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オキシトシンの投射先は、多岐にわたり、糖質嗜好性を制御する領域を絞り込むのに時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き投射先の解析を行う。 また、明らかになった投射先と糖質嗜好性とのかかわりを解明していく。
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Research Products
(1 results)