2019 Fiscal Year Research-status Report
脂質ラフトを標的としたがん・神経変性抑制の分子基盤と予防的治療への応用
Project/Area Number |
19K11740
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村井 稔幸 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20311756)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 細胞・組織 / シグナル伝達 / 分子認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞膜の微小なドメインである脂質ラフト(lipid raft, membrane raft)は、細胞内外の情報変換の中心的部位として近年注目されている。本研究代表者は、脂質ラフトが、がんの浸潤・転移に重要な役割を果たすことを見出し、その分子機構を解明してきた。本課題では、脂質ラフトを標的として、がんや神経変性疾患に対して抑制的に作用する可能性を有する物質について、生化学的な解析や顕微鏡を用いた解析などを通じて、脂質ラフトへの作用の分子基盤を明らかにすることを目的とした。 本研究期間においては、生化学的解析や、高分解能顕微鏡などを用いて詳細な脂質ラフト解析を行い、予備的検討で活性を見出した物質の細胞膜への作用の分子基盤を明らかにすることを目指した。ショ糖密度勾配遠心分離による界面活性剤不溶性膜画分(detergent-resistant membrane)調製法に加えて、酵素結合免疫吸着測定法(enzyme-linked immunosorbent assay)などの方法により、当該物質またはその類縁誘導体を投与したときの生細胞について生化学的な脂質ラフトに対する作用の解析をおこなった。その結果、特定の構造を有する物質が活性を有する知見を得た。本研究課題の2019年度における研究の実績は、脂質ラフト調節を介してがん・神経変性疾患の病態を抑制する機構の解明を行い、予防的治療法の確立に向けた応用についての貢献につながるのみならず、この分野の生物学においても重要性の高いものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度においては、交付申請書に記載した「研究の目的」および「研究実施計画」に沿って研究を実施し、十分な研究成果を得た。よって、おおむね順調に進展していると評価された。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度は2019年度に得られた成果を発展させ、いくつかの生化学的手法と顕微鏡技術の組み合わせにより、生細胞に対する効果を検証する手法の確立に着手する。本研究により、超高齢化社会に向けた老年性難治性疾患の克服に大きく貢献することを目指す。
|
Causes of Carryover |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なった。
研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。2020年度において当該研究費を合わせて使用することで、研究計画全体の達成に向けたより効果的な使用をおこなう。特に、細胞膜モデル解析手法の確立に対して使用する。
|
Research Products
(1 results)