2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of measuring system for gut microbiota-derived metabolites and the clinical application
Project/Area Number |
19K11741
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
矢野 彰三 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (80403450)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯村 実 島根大学, 学術研究院人間科学系, 教授 (40272497)
長井 篤 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (40273940)
山崎 雅之 島根大学, 学術研究院人間科学系, 准教授 (60379683)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | コリン代謝産物 / バイオマーカー / 動脈硬化 / コホート研究 / TMAO / Carnitine |
Outline of Annual Research Achievements |
コリン代謝産物の関連分子は心血管病のバイオマーカーとしての期待が高まっている。そこで、(1)trimethylamine-N-oxide(TMAO)を含む複数分子の同時測定系の確立、(2)地域住民を対象にしたコホート検体の測定、(3)測定値と心血管疾患ならびに動脈硬化指標との関連について解析を行い、選択された複数分子から重みづけによる疾患尺度を創出することを目的として研究を進めている。 (1)TMAOに加えて、trimethyllysin (TML)、γButylbetain (γBB)、CarnitineなどもTMAOと独立して心血管リスクになるとの報告が海外からなされたため、これらの物質の同時測定系を確立した。具体的には、LC/MS/MSのシステムを用いる。HPLCと三連四重極型質量分析計(MS/MS)が組み合わされており、除タンパク、抽出にて夾雑物を除去後にオートサンプラーからHPLCに注入する。 (2)島根大学地域包括ケア教育研究センター(Center for Community-based Healthcare Research and Education, Shimane University: CoHRE)では10年以上にわたり地域住民健診を利用したコホート調査を行っている。今回、同意の得られた男性142人・女性222人で採取された空腹時採血検体を用いて、上記物質の血漿中の濃度測定を行った。その結果、これまで海外から報告されている測定値と大差のない検査成績が得られた。 (3)現在、コホート調査で得られた背景因子、頸動脈エコーの成績について、統計解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数分子の同時測定系の確立:はじめに予定していたように、ある地域のコホートを用い、各物質の測定系を確立し、分離や抽出などの諸条件を決定した。初年度に測定条件を決定できたことは順調な進捗であると考えている。 次に、当初は不明な分子を含めて網羅的に検討し、測定対象を決定する予定としていたが、すでに海外から網羅的検討がなされているため、この部分を簡略して報告されている分子を検討することとした。これまでに、実際にコホート調査で採取された空腹時採血検体を用いてTMAO、TML、γBB、Carnitineなどを測定できており、現在のところ対象者との背景因子との関連性を統計解析している(2020年日本臨床化学会発表予定)。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在解析中であるTMAO、TML、γBB、Carnitine血中濃度と頸動脈内膜中膜複合厚(internal-media thickness, IMT)との関連を検討する。さらに、生命予後や心血管イベントとの関連についても、過去起点コホートの手法を用いて検討する。最終的には、イベント発症をエンドポイントにした際に、どの代謝物がどれほど関与しているかを多変量で解析し、疾患尺度を創出することができればと考えている。 一方、問題点として、生命予後やイベント発症に対するリスク評価が可能な人数が得られるかは不明である。イベント発症数が少ない場合は対象者数を増やす必要もあると考えている。
|
Causes of Carryover |
初年度に購入を予定していたフィルターなどの消耗品の購入について、次年度以降に回すことにしたため。測定する検体数が予定よりも実際には少なかったことも理由として挙げられる。今後測定数が増加すれば購入することになると考えている。
|