2021 Fiscal Year Annual Research Report
Anisomycinによる細胞老化誘導に関する基礎研究
Project/Area Number |
19K11749
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
牛島 弘雅 岩手医科大学, 薬学部, 助教 (90509043)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 細胞老化 / Anisomycin / RNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、Anisomycinによって誘導される細胞老化現象を癌に対する防御・除去の面から捉え、細胞老化を積極的に誘導する新規分子機構の探索及び老化細胞の分子生物学的特徴を明らかにすることを目的としている。 研究計画の最終年度である令和3年度における研究では、前年度までに得られたRNA-seq解析データ(大腸癌細胞株:DLD-1細胞に対して所定の濃度のAnisomycinを作用させたもの)を参考にして、解析対象とする細胞にB16細胞(マウスメラノーマ細胞株)を追加し、Anisomycinによって発現量が変動した遺伝子群(DEGs, differentially expressed genes)を癌抑制遺伝子及び細胞老化マーカーを中心に同定し、老化誘導時の細胞内代謝の変化を解析した。B16細胞を用いた解析では、Anisomycinの作用によってp21及びp53などの老化マーカーの発現量が2倍程度に増加していること、グルコースの細胞内への取り込みとその代謝能が減少していること、細胞内NAD量が減少すること等の特徴が明らかになった。また、細胞内へのグルコース取り込みの減少には、癌抑制遺伝子としても知られているTXNIP遺伝子の発現増加が関与していることが示唆された。DLD-1細胞を用いた解析では、AnisomycinによるDEGs変動を調節する転写因子の探索を行った。既報のクロマチン免疫沈降(ChIP)実験データを集積したデータベースとの照合により、8種類の転写因子がDEGsの発現変動に関与していることが示唆された。
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