2022 Fiscal Year Annual Research Report
食品成分によるTreg制御を介した食物アレルギー予防・治療法開発に関する基礎研究
Project/Area Number |
19K11756
|
Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
吉田 裕樹 九州保健福祉大学, 薬学部, 准教授 (90469411)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 食物アレルギー / 制御性T細胞 / 食品成分 / 漢方薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
食物アレルギーは、乳幼児から小児に多く、全身性アナフィラキシーを誘発する危険性が高いため、その予防・治療法を開発することは重要である。制御性T細胞(Treg)は、免疫抑制能を有するT細胞の一種であり、免疫寛容を介した食物アレルギー抑制に関与している。先行研究において、Treg を誘導する薬剤が見出されているが、安全性において課題が残る。一方、身近な食品成分の中にもTreg を誘導するものが存在する。しかしながら、食物アレルギーに対する効果は不明な点が多い。そこで本研究では、効率的なTreg 誘導能を有する食品成分の探索と食物アレルギーに対する抑制効果の解析を行う。 2022年度(4年目)は、これまで実施した実験の再現性を検証した。具体的には、卵白アルブミン(OVA)誘導性食物アレルギーマウスにバイカレイン含有漢方薬(オウゴントウ)を投与し、抗アレルギー効果やTreg数の変化を検証した。その結果、オウゴントウは、OVA誘導性の下痢症状や体温低下作用を抑制した。また、血中OVA特異的IgE抗体量を有意に減少させた。さらにオウゴントウは、腸間膜リンパ節由来のリンパ球集団におけるCD4(+) T細胞、CD4(+) Foxp3(+) T細胞、CD4(+) CD25(+) Foxp3(+) T細胞、CD4(+) CD25(-) Foxp3(+) T細胞の比率を増加させた。一方、CD4(+) T細胞中のCD25(+) Foxp3(+) T細胞、CD25(-) Foxp3(+) T細胞の比率には変化がなかった。 本研究では、Tregのマスター遺伝子であるFoxp3の転写活性を増加させる食品成分7種類や漢方薬11種類を見出した。これらのうち、バイカレインやオウゴントウは、OVA誘導性の食物アレルギーを抑制することが示された。さらに、その機序の一部は、Tregの増加によることが示唆された。
|
Research Products
(2 results)