2020 Fiscal Year Research-status Report
褐色脂肪組織が担う食事誘発性熱産生の亢進を目指した生体内分子作用機序解明
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19K11761
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Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
山崎 聖美 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 栄養・代謝研究部, 室長 (00218439)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 食事誘発性熱産生 / 魚油 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスに高脂肪食投与、あるいは過剰スクロース投与によって概日リズム障害を生じさせると、肝臓、白色脂肪組織、褐色脂肪組織、それぞれにおいて時計遺伝子および時計遺伝子発現調節因子のリズム変化が観察された。昨年度の肝臓における詳細な検討に引き続き、今年度は白色脂肪組織の内臓脂肪組織と皮下脂肪組織、そして褐色脂肪組織について検討を行った。その結果、高脂肪食投与、あるいは過剰スクロース投与によって肝臓においては時計遺伝子発現の振幅に大きな違いが見られたのに対し、脂肪組織では振幅には大きな違いは見られなかったものの位相のずれが観察された。また、このずれも各白色脂肪組織および褐色脂肪組織で異なった。 また、昨年度、ペルオキシソーム増殖薬活性化受容体PPARαを活性化させるFenofibrateをマウスに投与したところ、食事誘発性熱産生(DIT)の亢進を観察した。そこで、PPARαを活性化させることで知られる魚油をマウスに投与してDITについて調べた。その結果、魚油はDITを1.2倍亢進することを明らかにした。魚油によるDIT亢進を数値で示したのは初めてである。また、褐色脂肪組織におけるUCP1のmRNA量およびタンパク質量の増加、PPARαのmRNAの発現量増加、皮下脂肪組織の褐色化に伴い発現が増加することが知られている遺伝子Ucp1や繊維芽細胞増殖因子Fgf21、cell death-inducing DFFA-like effector A (Cidea)、PPARαによって発現が制御されるカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼI(CPTI)や中鎖アシルCoA脱水素酵素 (MCAD)、アシルCoAオキシダーゼ(ACO)などのmRNAの発現増加が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は、継続的に研究することが困難な時期が断続的にあり、予定した動物実験や細胞培養が行えない期間があったため、
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Strategy for Future Research Activity |
魚油投与により食事誘発性熱産生が1.2倍亢進することを明らかにできたことから、我々が開発し用いている方法でマウスの食事誘発性熱産生が測定できることが確認された。他の食品成分についても現在検討中である。
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Causes of Carryover |
オープンアクセス可能な雑誌へ投稿し論文掲載料金として予定していたが、令和2年度には掲載に至らなかったため。令和3年度は掲載予定のため、この論文掲載料金の支払いが生じる。また、令和2年度に予定していた研究の一部を行えなかったため。
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