2020 Fiscal Year Research-status Report
Long term effects of diet and exercise in childhood on lipid metabolism and heat production related gene expression in liver and brown adipose tissue
Project/Area Number |
19K11773
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
木村 真規 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 講師 (40383666)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 運動 / 脂肪 / レガシー効果 / 環境エンリッチメント / 肝臓 / 褐色脂肪 |
Outline of Annual Research Achievements |
過去に肥満を経験した者では,運動療法・食事療法に対して抵抗性を示す例が多い.我々は若齢期の肥満・運動経験が白色脂肪組織中の遺伝子発現を長期に渡って変化させ体内の糖・脂質代謝に影響を及ぼす可能性を報告したが,特に脂質代謝系と熱産生の系遺伝子に大きな変化が認められたことから,体内の主要な脂質代謝臓器である肝臓と熱産生臓器である褐色脂肪組織中の遺伝子発現においても長期的効果が生じている可能性が示唆された. そこで本研究では,肥満・運動経験により長期に亘って脂質代謝系および熱産生系に影響する肝臓・褐色脂肪組織のレガシー(遺産)因子を解明することを目的として,(1)若齢期の肥満・運動経験によって長期間変化する遺伝子の網羅的およびエピジェネティクス的解析,(2)老齢期の健康・長寿を導く若齢期・成熟期の生活環境(食・運動・豊かな環境)の探索,の2点から検討を行う. 2019年度は,検討①「若齢期の肥満・運動経験によって長期間変化する遺伝子の網羅的およびエピジェネティクス的解析」と,検討②「老齢期の健康・長寿を導く若齢期・成熟期の生活環境(食・運動・豊かな環境)の探索」を計画通り開始し,検討①については2020年1月に1クール目(n=20),2021年1月に2クール目(n=20)のサンプリングを実施した.2021年度に3クール目の実験を実施予定である(n=20).また検討②については若齢期の豊かな環境における飼育を実施したところ,ファイティングやイジメの様な行動が観察されたことから実験を中断した.現在,改善方法について多方面からの情報を収集して今後の対応を検討中である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は,検討①「若齢期の肥満・運動経験によって長期間変化する遺伝子の網羅的およびエピジェネティクス的解析」と,検討②「老齢期の健康・長寿を導く若齢期・成熟期の生活環境(食・運動・豊かな環境)の探索」を計画通り開始し,検討①については1クール目(n=20)を2019年9月からスタートし,2020年1月にサンプリングを実施した.また2クール目(n=20)を2020年9月からスタートし,2021年1月にサンプリングを実施した.2021年度に3クール目の実験を実施予定である(n=20).また検討②については若齢期の豊かな環境における飼育を2019年5月から実施したところ,飼育中にファイティングやイジメの様な行動が観察されたことから実験を中断した.この現象は,昨年度までの別の研究で一部観察されており今回の実験において再現性が確認できた.現在,動物種の変更について予備的検討を実施中である.
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度は,検討①「若齢期の肥満・運動経験によって長期間変化する遺伝子の網羅的およびエピジェネティクス的解析」の3クール目の実験を実施する(n=20).また検討②「老齢期の健康・長寿を導く若齢期・成熟期の生活環境(食・運動・豊かな環境)の探索」については,豊かな環境における飼育を成熟期もしくは老齢期のマウスに対して実施することを検討する.また使用する動物種についてICRマウスからC57BL/6マウスへの変更について予備的検討を実施中である. 今後,それぞれの環境で飼育を行ったマウスを解剖し,肝臓および褐色脂肪組織に発現する遺伝子の網羅的解析を実施する.その後,候補遺伝子を選定し,Realtime-PCR 法およびWestern-Blot 法による定量的確認を行って,レガシー効果の候補因子を同定する予定である.
|
Causes of Carryover |
理由:当初より血液・組織などのサンプルの測定試薬の購入は2019年度から2021年度にかけて適宜実施する予定であり,測定の順序はそれまでに得られたデータの内容や国内外の研究成果,他の業務の状況などによって調整を行っている.2019年度から2020年度は比較的低価格の試薬を用いた測定が多く次年度繰越金が生じたが,当初から想定された状況であり今後の研究遂行において問題は無いと思われる.
使用計画:2021年度において,残された実験の実施や問題解決の為の基礎的検討を実施する.また,血液・組織などのサンプルの測定を続けて実施する.2021年度はこれらに必要な試薬などを適宜購入して,残りの実験を実施する予定である.
|
Research Products
(1 results)