2021 Fiscal Year Research-status Report
脂質代謝に着目した副腎白質ジストロフィーの病態発症機序解明とバイオマーカーの創出
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19K11777
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
濱 弘太郎 帝京大学, 薬学部, 准教授 (20534481)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 副腎白質ジストロフィー / 極長鎖脂肪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
ABCD1を原因遺伝子とする副腎白質ジストロフィー (X-ALD) では、脂肪酸伸長反応によって内在的に産生された極長鎖脂肪酸CoA がペルオキシソーム内に取り込まれず、細胞内に蓄積する。我々は、極長鎖脂肪酸とX-ALDの病態発症に関する因果関係を明らかにする端緒として、過剰な極長鎖脂肪酸の代謝機序に着目した。我々はこれまでに、ペルオキシソーム病患者由来の線維芽細胞や疾患モデルマウスを用いて極長鎖脂肪酸含有リン脂質を解析し、リン脂質のsn-1位選択的に極長鎖脂肪酸が取り込まれることを明らかにしている。本年は、極長鎖脂肪酸をリン脂質に取り込む分子機構を明らかにするために、アシル基転移酵素を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ABCD1遺伝子をゲノム編集によってノックアウトしたHeLa細胞を作製し、siRNAを用いて極長鎖脂肪酸をリン脂質に取り込むアシル基転移酵素をスクリーニングした。その結果、特定のアシル基転移酵素の発現を抑制した場合に、C26:0の飽和型極長鎖脂肪酸を含有するホスファチジルコリン分子種が減少することを高速液体クロマトグラフィー‐質量分析器を用いて確認した。さらに、得られた候補遺伝子とABCD1遺伝子の二重欠損HeLa細胞を作製したところ、ABCD1単独欠損細胞に比べて、極長鎖脂肪酸をsn-1位に含有するリン脂質が有意に減少した。
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Strategy for Future Research Activity |
ABCD1の異常によって代謝を免れた極長鎖脂肪酸が、特定のアシル基転移酵素によって、リン脂質内に取り込まれることで蓄積することが示された。我々は、得られた候補遺伝子とABCD1遺伝子の二重欠損細胞を細胞生物学的に解析することで、極長鎖脂肪酸もしくは極長鎖脂肪酸代謝物がX-ALDの病態とどのように関与しうるかを探索する。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた試薬の一部が、生産中止、在庫無などの理由により購入できなかった。次年度はじめに代替品を購入し、解析を進める予定である。
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