2022 Fiscal Year Research-status Report
サルコペニアモデル動物の確立を目標とした疾患モデル動物の病態解析
Project/Area Number |
19K11780
|
Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
祖父江 沙矢加 中部大学, 臨床検査技術教育・実習センター, 准教授 (50513347)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市原 正智 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (00314013)
後藤 亜由美 中部大学, 生命健康科学部, 助手 (20780969)
三井 伸二 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (80646505)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 疾患モデル動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、筋萎縮症の発症メカニズムを筋萎縮モデル動物を通じて解明し、これを高齢時のサルコペニア性筋萎縮と比較することでサルコペニアモデルの確立可能性を探求することである。サルコペニアは加齢に伴う筋量減少や筋力低下を指す用語で、高齢化の進行と共に発症者数が増えると予想されている。しかし、サルコペニアの発症メカニズムや分子機序がまだ特定されていないため、そのキーとなる分子や機序の解明が急務となっている。我々は、筋萎縮症モデルラットの次世代シーケンシング解析を通じて、核-細胞質間輸送因子の遺伝子変異が筋萎縮症の発症に関連すると推察される結果を得た。この結果を基に、この遺伝子変異が引き起こす筋萎縮がサルコペニアにおける筋萎縮と同じ表現型を示すかどうかを評価するため、該当遺伝子に一塩基置換を有するノックインマウスを作製し、検証を行った。 2022年度には、2020年度に確立したノックインマウスを使用して表現型の確認を行った。後肢筋肉では、野生型と比較してノックインマウスにおいて有意な筋重量の低下が観察された。ホモ接合体およびヘテロ接合体の一塩基置換変異を持つ系統をそれぞれ野生型と比較したところ、どちらの場合でも筋重量の低下が認められた。さらに、後肢筋肉の骨格筋線維の萎縮状態について蛍光免疫染色を用いて評価したところ、速筋線維であるType IIb線維で萎縮が見られる傾向が認められた。また、ノックインマウスで筋萎縮が認められた時期にRNA-seq解析を用いて遺伝子発現の解析を行い、ノックインにより発現量が変動する遺伝子や影響を受ける経路を推察した。これらの結果は、遺伝子変異による筋萎縮のメカニズムを理解するための重要な手がかりを提供し、同時にサルコペニアの分子機序の解明へと繋がる可能性を示している。今後の研究では、これらの結果をさらに深堀りし、サルコペニアの治療法開発に貢献できる知見を得ることを目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度と2021年度に産休・育休取得のため一時的に研究を中断したことと新型コロナウイルス感染拡大の影響で実験動物の繁殖・飼育に制限が出たことにより研究に遅れが生じている。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続きノックインマウスを用いて表現型の確認を行う。まずは未実施の筋線維数の計測を行い、ノックインマウスで認められた筋重量低下が筋線維数の減少によるものかを検討する。次に中心核の出現頻度、速筋線維と遅筋線維の分布と面積比率の算出を行う。ロータロッド試験による運動機能解析、握力測定による筋力評価も実施する。
|
Causes of Carryover |
一塩基置換をホモで有する系統を得るための繁殖が難航したため次年度使用額が生じた。現状は検討に必要な匹数が揃いつつあり、萎縮が起きる週齢に達したところで解剖し表現型の確認を行う。
|