2020 Fiscal Year Research-status Report
セレン輸送タンパク質の血管内皮細胞シグナル伝達における機能
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19K11782
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
黒川 優 大阪大谷大学, 薬学部, 助教 (70759761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹橋 正則 大阪大谷大学, 薬学部, 准教授 (10378862)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | セレン / セレノプロテインP / ApoER2 / 血管内皮細胞 / 一酸化窒素 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は前年度に続きセレノプロテインPが血管内皮細胞においてシグナル伝達を引き起こすメカニズムについて解析を続けた。セレノプロテインPにおいて、複数の部位に変異を導入したタンパク質を調製し、血管内皮細胞にインキュベートしたところ、想定外の変異体でもシグナル伝達が引き起こされることが観察された。そこで、セレノプロテインPのシグナル伝達に関わる受容体を同定するために免疫沈降を行った。その結果、新規受容体の候補を同定した。本受容体とセレノプロテインPが結合することを確かめるために、GFPをC末端に融合した受容体をHEK293T細胞に発現させることに成功した。細胞培養上清にセレノプロテインPを添加し、インキュベート後に培地を洗浄し、細胞膜画分のGFP融合した受容体とセレノプロテインPがウエスタンブロット法で検出されることを確認できた。 セレノプロテインPがシグナル伝達に関わるという研究を脳においても展開し、セレノプロテインPがドーパミン受容体の機能に影響を及ぼすということを観察することができた。また、この神経におけるセレノプロテインPの機能において、セレンを硫黄に置き換えたセレノプロテインPの変異体も同様の機能を持つことが観察されたため、脳におけるドーパミンの調節に関わるセレノプロテインPは、細胞内に取り込まれセレンを供給することは不要であることが示唆された。本研究はセレノプロテインPがセレンを輸送するというタンパク質であるという以外にも、受容体のシグナル伝達を調節する機能を持つという新たな知見となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試薬の輸入などで想定していた時期に実験が遅れているが、実験はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で同定した受容体の機能発現に必要なセレノプロテインPのドメイン構造について解析を進める。
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Causes of Carryover |
試薬の輸入に時間がかかり、実験を延長したため
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