2022 Fiscal Year Annual Research Report
セレン輸送タンパク質の血管内皮細胞シグナル伝達における機能
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19K11782
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
黒川 優 大阪大谷大学, 薬学部, 助教 (70759761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹橋 正則 大阪大谷大学, 薬学部, 准教授 (10378862)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | セレン / 受容体 / アポE受容体2 / セレンタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
微量必須元素セレンを輸送するセレンタンパク質Pが血管内皮細胞上に発現するLDL受容体タンパク質ファミリーのアポリポプロテインE受容体2(ApoER2)との結合とそのシグナル伝達について解析を行った。セレンタンパク質Pが多くのLDL受容体結合タンパク質が結合するN末端付近に位置するリガンド結合ドメインではなく、細胞膜貫通ドメインに近いβープロペラドメインに結合することでセレンを細胞に供給するという特異的なメカニズムを持つことから、受容体のシグナル伝達への影響を解析した。部位特異的変異を導入したApoER2受容体を作製し、セレンタンパク質PがApoER2タンパク質の6つのβシート構造で構成されるβープロペラドメインに特異的に結合し、そのβシートの特定のアミノ酸残基が結合に重要であることを明らかにした。このアミノ酸残基はApoER2には複数の生物種に高度に保存されていたが、同じLDL受容体タンパク質ファミリーではあるが、セレンタンパク質Pが結合しないLDLRには保存されていないことから、受容体との結合に重要であることが示唆された。また血管内皮細胞であるTKD2細胞株において、セレンタンパク質Pを暴露すると、シグナル伝達に関わる遺伝子発現が変動することがわかった。本研究で使用したセレンタンパク質Pの複数の変異体を用い、神経伝達に関わる脳のニューロンでもセレンタンパク質PとApoER2の結合がドパミンの代謝回転を調節することを明らかにすることができた。これらのことから、セレンタンパク質Pが受容体のシグナル伝達を調節する機構についての知見が得られた。
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