2021 Fiscal Year Annual Research Report
腸内細菌により産生される短鎖脂肪酸の骨代謝調節作用と作用機序の解明
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19K11786
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Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
東泉 裕子 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究部, 室長 (20360092)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 骨代謝 / 短鎖脂肪酸 / 酢酸 / 酪酸 / プロピオン酸 / 骨粗鬆症 / 難消化性糖質 / 腸内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的:近年、短鎖脂肪酸による局所および全身炎症・免疫系における調節作用が報告されているが、作用機序を含めた短鎖脂肪酸の骨代謝への作用は明らかにされていない。そこで、本研究では骨粗鬆症予防における、腸内細菌により産生される短鎖脂肪酸の骨代謝への作用を明らかにするとともに、骨代謝に関連する炎症・免疫系調節における短鎖脂肪酸の新規作用メカニズムを検討することを目的とした。 研究方法:8週齢ddY雌性マウスに偽手術(Sham群)あるいは卵巣摘出手術(OVX群)を施し閉経後骨粗鬆症モデルマウスを作成した。閉経後骨粗鬆症モデルマウスに大腸内で短鎖脂肪酸を特異的に供給する難消化性糖質を含む飼料、すなわち、Nアセチル-D-グルコサミン(GNA)を含む飼料(OVX+GNA群)、N-アセチルノイラミン酸(NA)を含む飼料(OVX+NA群)、あるいはフコース(FC)を含む飼料(OVX+FC群)を6週間摂取させた。マウスの大腿骨骨密度、盲腸内容物中の短鎖脂肪酸濃度及び糞便中の腸内細菌叢を評価した。 試験結果・考察:飼料摂取量および最終体重においてすべての群間で有意差は認められなかった。大腿骨全体の骨密度はSham群に比較しOVX群は有意に低値であったが、OVX+FC群はエストロゲン欠乏に起因する骨密度の低下が有意に抑制された。OVX+FC群における盲腸内容物中のプロピオン酸の相対濃度は他の群に比較し有意に高値であった。OVX+FC群及びOVX+NA群はOVX群と比較し腸内細菌叢の組成が異なっていた。これらの結果より、閉経後骨粗鬆症モデルマウスにおけるFC摂取は骨密度低下を抑制する可能性を示すとともに、その作用機序として腸内細菌叢や腸内代謝産物のプロピオン酸が関与している可能性が示された。
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