2021 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋サルコメアにおける収縮依存的なアクチン・ターンオーバー
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19K11793
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
鹿毛 陽子 宮崎大学, 医学部, 助手 (30776688)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アクチン / サルコメア / フォルミン |
Outline of Annual Research Achievements |
サルコペニアとは、加齢に伴う筋量や筋力の低下によって身体能力が低下した状態をさし、高齢化が進む日本にとって深刻な問題である。サルコペニアは、加齢に伴うさまざまな要因により、横紋筋の収縮単位であるサルコメアの恒常性維持が困難となることで発症すると考えられているが、その分子機序には不明な点が多く残されている。サルコメアは、ミオシン線維とアクチン線維が規則正しく整列した収縮装置であり、その構成要素であるアクチン線維は従来、安定した構造物であると長らく考えられてきた。ところが近年、心筋サルコメア内ではアクチン分子が活発にターンオーバーしていることが明らかとなり、骨格筋においても同様なターンオーバーが想定されているが、その詳細は明らかでない。本研究では、骨格筋サルコメアにおけるアクチン・ターンオーバーの実態を明らかにし、その恒常性維持機構を解き明かすことを目指している。本年度は、筋サルコメアのアクチン動態制御因子のなかでも、心筋のサルコメアにおいて必須の役割を果たすことがすでに明らかなフォルミン蛋白質に着目し、骨格筋における発現様式を検討した。その結果、フォルミン蛋白質は、骨格筋のなかでも筋の種類や部位に特異的な分布を示すとともに、筋の各発達段階においても異なる発現様式を示すことが明らかとなった。このことは、アクチン・ターンオーバーには筋の種類特異的な制御機構が存在することを示唆している。今後はアクチン・ターンオーバーの制御様式の違いが、どのような分子機構によるのか、また、各筋線維の生理活性や収縮特性に違いを生み出すのかに着目して研究を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により実験動物の飼育制限等があったため、実験に滞りが生じた
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Strategy for Future Research Activity |
ワクチン接種等によりコロナ禍の状況は改善しつつあり、当初の研究計画にできるだけ沿う形で進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による実験動物の飼育制限等があったため、実験に滞りが生じた。ワクチン接種等により状況は改善しつつあり、事業期間を1年間延長したことにより、当初計画に準じた形で使用できる予定である。
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