2022 Fiscal Year Research-status Report
慢性腎臓病の腎線維化に食餌および運動が与える影響の検討
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19K11795
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
吉田 卓矢 熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (80622448)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 慢性腎臓病 / 運動 / エネルギー産生栄養素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、運動が慢性腎臓病による腎組織障害を改善する効果の機序を明らかにすることを目的とし、特に腎臓の脂肪酸代謝と線維化の関連に着目して運動の効果を検討した。昨年度は、長期的に高脂肪食を与え腎機能を低下させたラットを用いて、運動および食餌のエネルギー産生栄養素の摂取比率の違いが慢性腎臓病による腎障害に及ぼす影響を検討した。その結果、運動は高脂肪食摂取による腎尿細管の障害を有意に抑制した。また、食事中の脂質からのエネルギー摂取比率を減らすことも運動と同様に腎尿細管の障害を抑制した。しかし、運動に加えて食事中の脂質からのエネルギー摂取比率を減らしても腎臓に対する相加的な効果は見られなかった。また、腎組織中の脂質代謝について検討したが、運動およびエネルギー産生栄養素摂取比率の違いは、腎臓の脂質代謝を促進させることはなかった。そのため、運動や食餌による腎組織への影響は、全身に対する効果の間接的な影響であることが考えられた。本研究では、高脂肪食を長期的に摂取させて腎機能を低下させてから運動やエネルギー産生栄養素の摂取比率の違いが慢性腎臓病の腎臓に及ぼす影響を検討した。そのため、これらの結果から一度低下した腎機能については、運動と食餌のエネルギー産生栄養素の摂取比率を改善しても健常な動物と同程度まで腎組織病変を戻すことは困難であることが考えられた。運動が腎障害を抑制することは明らかであったため、今後は運動習慣の有無が、高脂肪食による腎障害の進展を予防することができるか予防的な効果についても明らかとなることが望まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
想定していた研究結果と異なる結果であったため、実験の追加および考察で時間を要した。そのため、やや遅れていると評価し、研究機関の延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究結果についてさらに考察し、2024年1月の日本病態栄養学会で発表を予定している。また、早急に論文の執筆をすすめる予定である。
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Causes of Carryover |
想定していた実験結果と異なる結果であったため、追加の実験に時間を要した。そのため、当初予定した研究期間を延長し、学会発表および論文執筆に必要な予算を次年度に使用する必要ができた。
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