2019 Fiscal Year Research-status Report
Study onthe anti-aging effct of coenzyme Q10 with considering individual differences
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19K11797
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
鈴木 敏和 和洋女子大学, 家政学部, 教授 (70270527)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 補酵素Q10 / サプリメント / 吸収 / 遺伝子一塩基多型 / 食品 / アンチエイジング |
Outline of Annual Research Achievements |
新たに2種類の遺伝子のSNPを調査した。また、過去に見出した補酵素Q10(CoQ10)の吸収や排泄に関わる遺伝子のSNPと組合せ、CoQ10を長期間摂取しても血清値が上昇しにくい遺伝子型グループが存在するか調べた。2013年11月より愛媛県上島町で継続しているユビキノール健診参加者で本研究に同意した170名を対象者とした。参加者の還元型CoQ10摂取量は期間で異なっていることから、初回の参加時を摂取前、2017年11月~2018年5月まで150mg/日の還元型CoQ10を摂取した後を摂取後とした。摂取率の低い者、摂取後の血清CoQ10増加レベルが1µmol/L未満の者を除いた108名(男性38名、女性70名)を分析対象者とした。男性ではCD36、NPC1L1、Cyp7A1の3つのSNPを組合せると、女性ではCD36、NPC1L1、HMGCRの3つのSNPを組合せると、CoQ10サプリメントの吸収の低いグループが出現した。 一方で、粉末タイプの還元型CoQ10サプリメントを汁物に懸濁して摂取させた場合、食事メニューによって吸収が異なるか検討した。13名を被験者とし、汁物以外の食事メニューを統一して、澄まし汁、みそ汁、牛乳スープ、生卵に120mg/食の還元型CoQ10を昼食時に摂取させ、摂取前および摂取1.5、3、5時間後に採血し、血清CoQ10値の上昇速度を比較した。その結果、みそ汁がCoQ10の吸収を上げる、または吸収速度を高めるという結果を得た。この結果を受け、みそ汁に粉末タイプの還元型CoQ10サプリメントを懸濁して3週間摂取すると、同タイプのサプリメントを食後に水と一緒に同期間服用する場合よりも血清CoQ10値を上昇させるか検討した。19名を被験者としたクロスオーバー試験を実施し、試験前後での採血を行った。現在、血清CoQ10分析値の到着を待っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由は次の2つである。 ① SNP型の組み合わせによりCoQ10の吸収の低いグループを見いだせた。さらにCD36とNPC1L1の2つのSNPは男女に共通していた。この結果を基に、次年度に培養細胞系を用いた機構解析を行う遺伝子の順位付けすることが出来た。 ② CoQ10の吸収の促進が期待される食材として、みそを見いだすことができた。過去に行ったユビキノール健診参加者の食事調査より、乳類、卵、および大豆類の摂取の多い者が還元型CoQ10サプリメントの吸収が高いと予想されたが、その一つがヒットした。 これらの成果を基に、予定通り次年度の研究に着手できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果に基づいて次の研究を実施したい。 ① CoQ10はキロミクロンの形で小腸から吸収され、リンパ管を経て肝臓に移動する。肝細胞および小腸上皮細胞の培養系を用いて、CD36およびNPC1L1 cDNAのメジャー型またはマイナー型のトランスフェクションを行い、脂質ミセル中に取り込まれたCoQ10の小腸上皮細胞の基底膜側への通過や肝細胞への取込みの比較等、CoQ10の吸収に個人差を及ぼす機構を調べる。 ② 還元型CoQ10は酸化型CoQ10と比べて吸収が良いが、食品中で還元型を長期間保つことができるか不明である。みそ汁でCoQ10を摂取する場合、みそ汁にサプリメントを毎回懸濁するよりも、あらかじめみその中に分散させる方が調理しやすい。還元型CoQ10強化みそをつくり、みそ中での還元型CoQ10の安定性を調べる。 ③ CoQ10の吸収の低い遺伝子型をもつ人で、みそと還元型CoQ10を一緒に摂取することで、同量のサプリメントを食後に水で摂取する場合よりも吸収が改善するか調べる。
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Causes of Carryover |
申請当初、2019年度より培養細胞を用いた遺伝子導入試験を計画したが、どの遺伝子を優先して調べるか絞り込むことは容易ではなかった。そこで、今年度新たに調査したSNPも含め、臨床実験データの再分析を行い、調査する遺伝子の絞り込みを行うことに計画を修正し、遺伝子導入実験を実施しなかった。また、ヒト臨床試験において、募集人数の半数しか参加者が集まらなかったため、分析費用や謝礼費用が想定より少なかった。 次年度使用額は、主にメジャー型、マイナー型のcDNAの人工遺伝子作成費用および遺伝子導入試薬等購入費用として使用する。
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Research Products
(4 results)