2021 Fiscal Year Research-status Report
Study onthe anti-aging effct of coenzyme Q10 with considering individual differences
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19K11797
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
鈴木 敏和 和洋女子大学, 家政学部, 教授 (70270527)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 補酵素10 / サプリメント / 遺伝子一塩基多型 / 食品 / アンチエイジング / SF-36 |
Outline of Annual Research Achievements |
女性において補酵素10(CoQ10)サプリメント摂取後に血清CoQ10値の上昇と関連のある4つの遺伝子一塩基多型(SNP)[rs3808607 (CYP7A1遺伝子)、rs2072183 (NPC1L1遺伝子)、rs2032582 (ABCB1遺伝子)、rs1761667(CD36遺伝子)]とCoQ10サプリメント効果との関連について、過去のユビキノール健診データを用いたオプトアウト研究により調査した。サプリメント効果は、女性でスコアの上昇が既に報告されている、健康に関連した生活の質(QOL)を主観的に測定するSF-36の調査データを用いた。過去のユビキノール健診参加者に対し、研究室ホームページ上での告知(2021年9月~12月)、およびユビキノール健診を実施した場所で行われた健康イベント(2021年11月20日~22日)での口頭での説明により、本研究でのデータ使用を拒否する機会を提供した。 女性(64.3±10.4歳)において、rs2072182とrs1761667はサプリメント摂取に伴う「心の健康」スコア上昇に対して交互作用を示した。残りの2つのSNPは、スコア変化に影響を与えなかった。4つのSNP型を合わせ、サプリメント摂取により血清CoQ10値が上昇しやすいHR群としにくいLR群の2群に分けると、「全体的健康感」、「日常的役割機能(精神)」、および「心の健康」スコアの上昇に対して交互作用を示した。また、「身体機能」スコアの上昇に対して交互作用を示す傾向が見られた。これらのスコアは、CoQ10サプリメント摂取後にHR群でのみ上昇が確認された。以上より、女性においては、サプリメント摂取により血中CoQ10値が上昇しやすい遺伝子型を持つと、CoQ10サプリメント摂取による健康維持改善効果を得られやすいことが示唆された。一方、男性においては、同様な結果は得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響が長引いたこと、2022年初頭よりオミクロン株による著しい感染拡大が生じたことにより、新規の臨床試験を断念せざるを得ない状況が続いた。一方で、SNP型を調査した参加者を対象に、研究協力者がCoQ10サプリメント摂取による健康への効果を既に測定し、研究報告をしていた。その研究協力者に共同研究をお願いし、了承して頂けたことで、何とか研究を推進させることができた。さらに、期待する研究成果が得られたため、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
SF-36スコアは、主観的なQOL尺度である。また、QOLは老化とともに低下するが、QOLスコアの向上が100%アンチエイジング効果であるかどうか判定することは難しい。運動能力や体力、知力や認知能力など、数値化が可能な客観的な指標でCoQ10サプリメント効果を調査している研究に加わらせてもらい、参加者のSNP型を調査し、見出された4つのSNPとの関連を調査する。SNP型によるHRとLRの判定が女性特異的なものか、それともサンプル数を増やせば男性も同様な傾向が見られるのかについても評価する。 CYP7A1、 NPC1L1、およびCD36遺伝子のSNPは血清コレステロール値の調節の個人差と関連があり、またエストロゲンによる発現調節を受ける。また、女性は閉経に伴い血清コレステロール値が上昇するが、研究参加者の平均年齢は、65歳であり、女性の参加者の多くは閉経後または閉経期を迎えていると予想される。閉経後の血清コレステロール値の上昇と関連した遺伝子の個人差がCoQ10サプリメント効果の影響を与える可能性が考えられる。培養細胞や動物モデルなどで、CoQ10サプリメント効果の個人差を生じる理由が解明できないか、検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症が収束せず、また研究機関内における研究の制限や遠隔授業と面接授業を並行して実施するなど教育業務も申請当初より負担が増大しているなどの理由により、研究計画当初の研究が思うように実施できない状況が2年間連続したため。 遅れているヒト臨床試験やその他の研究を実施するための費用として使用するが、研究実施期間の延長も視野に入れ、状況を見ながら研究を実施する。および研究成果の公表(英文校閲、オープンアクセス費用など)や論文作成に必要な研究用品の購入に使用する。
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