2021 Fiscal Year Research-status Report
脂肪性肝疾患に対する消化管胆汁酸代謝制御を標的とした新たな食事性予防戦略
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19K11811
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
宮田 昌明 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 教授 (90239418)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | タウリン / セレノネイン / トリメチルアミンオキサイド / 胆汁酸 / 脂質代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
アテローム性動脈硬化症との関連が示唆されているトリメチルアミンオキサイド(TMAO)を脂質代謝異常モデルであるFxr欠損マウスに0.3 %の混餌投与で3ヶ月間与えたところ血清の総コレステロールとトリグリセリドレベルが有意に上昇する一方で肝臓の総コレステロールレベルが有意に低下し、TMAOがFxr欠損マウスの脂質代謝に影響を与えることが明らかになった。TMAOによる胆汁酸代謝への影響の可能性が考えられたため、TMAO処置マウスの体内胆汁酸組成を測定したところ、肝臓、消化管管腔内、血清中の総胆汁酸レベルの有意な上昇が認められたが、胆汁酸分子種組成の面では顕著な変動は認められなかった。 Fxr欠損マウスの脂肪肝と肝障害を軽減する事が明らかになったセレノネインの胆汁酸代謝への影響を、セレノネイン処置Fxr欠損マウスの肝臓、血清、消化管管腔内の胆汁酸組成を測定して解析したところ、胆汁酸の質的、量的差異はセレノネイン処置によって認められなかった。一方セレノネインを脂肪酸処理 (オレイン酸とパルミチン酸処理) により脂肪性肝疾患モデルとしたHepG2細胞に7 μMで処理したが、トリグリセリドレベルの低下は認められなかった。またHepG2細胞にセレノネイン1 μM処理を行い、マイクロアレイ解析を実施して、網羅的な遺伝子発現変動解析を実施したが、発現変動する遺伝子は少なかった。 タウリンによる脂質低下作用の機序を明らかにするためHepG2細胞にタウリンを処理する実験については今年度実施出来なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は研究課題の最終年度であり、タウリンによる胆汁酸シグナルを介するコレステロール低下作用についてHepG2細胞を用いて解明しようと予定していたが、コロナウイルス感染状況下、実施出来なかった。またセレノネインについてはHepG2細胞に取り込まれない可能性が考えられ、実験系の変更を余儀なくされた。よってもう一年研究期間を延長する事とした。
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Strategy for Future Research Activity |
タウリンに関してはHepG2細胞に処理をして、胆汁酸代謝系とコレステロール代謝系への影響を解析する。セレノネインについてはHepG2細胞にセレノネインを輸送するトランスポーターのOCTN1を発現させて解析する。あるいはセレノネインを取り込むことが明らかとなっている肝臓の非実質細胞のLI90細胞を用いて解析する。TMAOについてはFxr欠損マウスにおけるコレステロール、胆汁酸代謝の変動の機序を、関連タンパク発現を解析して明らかにする。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染の影響でHepG2細胞をもちいたタウリンのコレステロール低下作用の解析が実施出来なかったため、この部分について実施する。
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