2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K11818
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
山崎 浩一 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (00246662)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 極小セパレータ / 誘導マッチング数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、極小a,bセパレータと呼ばれる、グラフ上の離散構造に関する研究である。特に、極小a,bセパレータを多く持つグラフにはどのような特徴があるかという問いに関心がある。本研究は、3つのテーマ(【問1】~【問3】)に分けて計画されている。 これまでの研究で、「(擬)誘導マッチング数」と「極小a,bセパレータの個数」に何らかの関係があることが徐々に明らかになってきており、本年度では【問1】である”(擬)誘導マッチング数」と「極小a,bセパレータの個数」間の関係を明らかにする。”という問いに対し、以下の成果を得た:(1)極小a,bセパレータの個数が大きいと(擬)誘導マッチング数も大きくなる。(2)ある構造を持つ部分グラフ上で(擬)誘導マッチング数が大きいならば、極小a,bセパレータの個数も大きくなる。 【問1】に対するある種の答えが得られてはいるが、一方で本研究では束の理論からのアプローチをとることも意識しており、その意味では本成果を得るために用いた手法がグラフ理論的な手法によるところが大きく、束の理論での手法や視点に基づいたアプローチが取れていない。同様の結果を、他のアプローチで得るという課題も残っている。 また、成果(2)では、「ある構造を持つ部分グラフ上で」という条件が付いているので、成果(1)の(完全な形での)逆にはなっていない。現時点では、この条件を如何に緩和するか(または取り除けない条件なのか)や別のもっと自然な条件の下で(2)と同等の結果が得られないかを検討している。この条件を、どのようにまたどこまで緩和できるかが今後の課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、以下の3つの問いに対して研究を進めている:【問1】「(擬)誘導マッチング数」と「極小a,bセパレータの個数」間の関係を明らかにする。【問2】極小セパレータと深く関係する重要な概念である潜在的極大クリークに対し、それら全体が持つ(であろうと予想される)代数的な構造を明らかにする。【問3】極小セパレータと深く関係するもう一つの重要な概念であるBrambleに対し、それら全体が持つ(であろうと予想される)代数的な構造を明らかにする。現時点では、【問1】に関しては、まだやり残している部分はあるが、ある程度は明らかにできたと考えている。【問2】に関しては、まだ研究を開始した段階であるため具体的な成果は得られていないが、2019年度で得られた成果を足掛かりに研究を進めていく予定である。【問3】に関してはいつ着手できるか予定が立たない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
【現在までの進捗状況】で述べたように、本研究では【問1】~【問3】の3つのテーマに分けて研究を進めている。【問1】に関してはある程度の成果が得られていたものの、まだやり残している部分がある。やり残している部分にもうしばらくは取り組みたいと考えるが、一方で【問2】にも着手しなければならない時期に来ているため、当面は両者を平行に進め、進み具合を見ながら【問2】に完全移行する方向で研究を進めていく予定である。【問2】の研究過程で得られる知見は、【問3】の研究にも活かせる可能性が高いため、(進み具合にもよるが)年度内は【問2】に専念する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度はコロナの影響で、国内研究会や国際会議への参加が難しく、そのため予定していた旅費の発生が起きなかった。また、前年度購入した計算機も順調に作動しているため、新たな実験機器の購入も発生しなかった。
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Research Products
(1 results)