2019 Fiscal Year Research-status Report
Theory of run-length constraint codes and combinatorial recording codes for novel high density recording
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19K11822
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
鎌部 浩 岐阜大学, 工学部, 教授 (80169614)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 二次元磁気記録 / 削除誤り / LDPC符号 / バランス制約 |
Outline of Annual Research Achievements |
二次元磁気記録では,データを物理的に二次元状に並べて記録する.書き込みおよび読み出しヘッドが,記録媒体と接触すると,二次元状の誤りが生じる.接触した部分は,書き込みや読み出しができなくなるため,これはデータ上の消失誤りを引き起こす.こうした誤りに特化した低密度パリティ検査符号の生成方法が示されており,その誤り訂正能力が理論的に与えられていた.本研究では,その符号の構成方法を拡張し,トラックの方向により長い二次元上の誤りを訂正できるような符号構成方法を与えた.当初は,連長制約などを組合せることでこの目的を達成できると予想していたが,実際には,パリティ検査行列の構成方法を工夫することで達成できることがわかった. 通信路の制約として,バランス制約と呼ばれる典型的な制約がある.これは,符号化された系列の中に出てきる各記号の出現回数がすべて同じ(バランスしている)という制約である.この制約を満すための符号化規則は様々なものが開発されてきたが,最近Dubeらによって,Pacmanアルゴリズムに基く符号化方法が提案され,冗長性の小さい符号が提案されてきた.本研究では,このアルゴリズムを基礎にして,テーブル参照型の符号化を提案し,その冗長度が log i (iは,情報記号長)であることを理論的に示した.これは,オーダー的には理論限界に到達している. MAMR(Microwave Assisted Magnetic Recording)では,マイクロ波を用いて超高密度記録を達成する.マイクロ波は,ディジタルデータを記録するときに使用されるが,異る周波数を用いることによって,多層に記録できることがわかっている.しかし,それを再生するときに異る層の信号が一緒に再生されるため,それらを区別できるようにする必要がある.このため,加法的通信路のためのマルチユーザ符号と通信路推定の技術を応用した.これらの技術を併用することで,信号を再生できる可能性があることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)連長制約符号とバランス符号について:連長制約符号を実際に構成するために,詳細にアルゴリズムを書き出し,プログラムを書き始めている.アルゴリズムの詳細化に,かなり時間がかかっている状況である.これに対して,バランス符号はアルゴリズムの詳細化がうまくいき,計算機シミュレーションによる性能評価(符号化率と冗長度の漸近的な振舞の様子)を1,2ヶ月の内に行う予定である.また,constant weight符号,二次の零スペクトル符号(二次のバランス符号)への拡張を考えている.これらについては予想を以上に進んでいる. (2)PRIO符号とランク変調について: PRIO符号をゴレイ符号を使って作成する研究は,まず計算機実験からはじめているが,すべての場合をつくせてはいない.ひき続き実験を行うとともに,理論的な解析の可能性を探っていく.ランク変調符号のための一般化ケーリー距離に関する研究は停滞している.今年度はこれを様々な方向からアプローチするように,いろいろと方向を変えて研究をすすめる予定である.これらについては,実験に時間をかけたが新しい事実はほとんど見つかっていない. (3)3次元符号化:二次元符号化の問題にも,まだ多くの問題と可能性があることがわかりその方面の研究を進めている.特に,二次元の消失誤りの研究は多くの興味を引いているので今後も進めていく予定である.MAMR(マイクロ波アシスト磁気記録)の多層記録が,3次元符号化の具体例になるようなので,この方面の研究を進めている.この研究では,加法的マルチユーザー通信路の符号理論がうまく適用できるので,この方面と制約符号の組合せで研究を進めている.現在は,初期の段階の符号を構成できてい状況である.このテーマについては,予想以上に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)連長制約およびバランス符号について:当初連長制約に焦点をあてていたが,バランス符号についての結果が出てきており,また,今後の拡張についてもいくつか候補がある.具体的には,バランス制約を拡張したconstrant weight符号に対して,Dubeらの方法を適用することを考えている.また,二次の零スベクトル制約(バランス符号は1次の零スペクトル制約であると見なせる)に対して,Dubeらの方法を適用することを予定している. (2)PRIO符号とランク変調符号について: 線形符号をもとにしてWOM符号を構成することでPRIO符号を構成できるが,WOM符号を経由せずに作成することによって,より効率のよい符号を構成できる.(7,4),(15,5),(32,6)ハミング符号を利用することによって,具体的な符号が構成されている.そこで符号化率の高い符号を構成するために,Golay符号を基礎としてPRIO符号を構成することを検討しており,計算機実験ではある範囲内のデータに対して符号化が可能であることがわかっている.これらの結果をまとめて,実際にすべての場合に対して符号を構成できることを計算機実験と理論的な考察によって求める.計算機実験で調べる範囲を昨年度よりも拡張していく. (3)3次元記録について:2次元記録の研究でよい結果が出てきたので,今後もこの方向で進めていく.具体的には,誤り訂正能力が高いことが証明できた符号について,計算機シミュレーションによって性能を調べていく.また,2次元記録符号/誤り訂正符号の研究もまた盛んになりつつあるので,今年度以降もこの分野の研究を進めていく.MAMRによる多層記録方式を採用した磁気記録は,現在は深さ方向の多重化だけを考えている.今後は,記録密度を上げるために,二次元符号を深さ方向に拡張する予定である.
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Research Products
(2 results)