2019 Fiscal Year Research-status Report
大域的分散グラフアルゴリズムに対するパラメタライズド手法の確立
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19K11824
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
泉 泰介 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20432461)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 分散アルゴリズム / グラフアルゴリズム / 固定パラメタアルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の計算機が通信リンクで相互接続した分散システムにおいて、ネットワークのトポロジカルな構造に立脚した何らかの組み合わせ最適化問題(最短経路問題、彩色問題等)をネットワーク自身が計算したいという要求は自然な問題設定であり、また多くの応用が存在する。分散グラフアルゴリズムとは、複数の計算機が通信リンクで相互接続した分散システムにおいて、ネットワークのトポロジカルな構造を入力データと見なしてグラフアルゴリズムを実行する枠組みである。本研究では、グラフ理論の基本的な諸問題のうち、特に求解のために大域的な情報収集を必要とする問題(大域的な問題)を対象とし、入力インスタンスの困難性に応じた最適な計算時間を達成する分散グラフアルゴリズムをパラメタライズドアルゴリズムの文脈から模索する。本研究では,単一計算機におけるグラフアルゴリズム(逐次アルゴリズム)の設計における重要な設計パラダイムの一つである固定パラメタ容易性の概念を分散グラフアルゴリズムの文脈に拡張し,それに基づく効率的なアルゴリズムならびにその理論限界の解明を目指す. 本研究では,計画段階において(テーマA)解のサイズに注目した上界へのアプローチ,ならびに(テーマB)グラフパラメタに注目した上界へのアプローチの2つのサブテーマを挙げ,それぞれのもとで具体的な問題に取り組んだ.実際に得られた成果としては,(1)主要なグラフパラメタと大域的分散グラフアルゴリズムの計算量の関係解明,(2)木幅制限グラフに対する制約下計算,(3)各種問題への分散近似アルゴリズムの設計,(4)モバイルエージェントシステムにおける各種グラフパラメタが求解性能に及ぼす影響の解明等を挙げることができる.これらの成果の多くは当該分野のトップ会議へと採択されており,総合的に見て今年度は想定以上の成果を得られたと自負している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
概要の項にて述べた通り,今年度は数多くの問題に対して新たな結果を得るとともに,それらがPODC,DISC,ICDCS等の当該分野最難関会議に数多く採択された点は特筆に値する点である.特に概要項(1)で述べた成果に関しては,本研究が計画しているテーマの中核課題に対する大きいステップである.項(2)に関しては,現在学外研究者との議論が進んでおり,2020年度中には論文執筆に至ることができる見通しが立っている.またそれ以外にも,量子計算,領域制限計算,モバイルエージェントシステムといった周辺分野との境界領域における研究が併せて生じている.この点は当初計画では予定していなかったことであるが,結果的にそれらの研究が本研究計画の中核テーマにも非常にポジティブな影響を与えており,今後に期待が持てる状況であるといえる.以上を踏まえて,全体の計画としては,極めて順調に推移していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況の項で述べた通り,当初計画テーマのうちの一部(例えば概要項(1)(2))等に関してはかなり良い見通しがあるため,まずはそれらの結果の国際会議,ジャーナル等への刊行を進めていきたい.また,当初計画が順調に推移していることから,いくつかのさらなる発展課題についても,今後検討していきたいと考えている.具体的には,A)時間変化する動的ネットワークに対するパラメタライズド手法のモデル化とアルゴリズム設計,B)分散型確率的最適化に対するパラメタライズド手法,C)部分グラフ発見問題に対する縮退度パラメタが求解効率に与える影響,等を検討していく予定である.
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Causes of Carryover |
論文の棄却・再投稿等により当初計画の国際会議発表予定時期が次年度へずれ込んだこと,また,2020年度3月に予定していた国際会議への参加が新型コロナウィルスの影響でキャンセルとなったこと等による.
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[Journal Article] Brief Announcement Logarithmic Expected-Time Leader Election in Population Protocol Model.2019
Author(s)
Yuichi Sudo,Fukuhito Ooshita,Taisuke Izumi,Hirotsugu Kakugawa,Toshimitsu Masuzawa
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Journal Title
Proceedings of the 2019 ACM Symposium on Principles of Distributed Computing, PODC 2019, Toronto, ON, Canada, July 29 - August 2, 2019.
Volume: 無し
Pages: 60-62
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Distributed Minimum Degree Spanning Trees.2019
Author(s)
Michael Dinitz,Magnus M. Halldorsson,Taisuke Izumi,Calvin Newport
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Journal Title
Proceedings of the 2019 ACM Symposium on Principles of Distributed Computing, PODC 2019, Toronto, ON, Canada, July 29 - August 2, 2019.
Volume: 無し
Pages: 511-520
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Logarithmic Expected-Time Leader Election in Population Protocol Model.2019
Author(s)
Yuichi Sudo,Fukuhito Ooshita,Taisuke Izumi,Hirotsugu Kakugawa,Toshimitsu Masuzawa
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Journal Title
Stabilization, Safety, and Security of Distributed Systems - 21st International Symposium, SSS 2019, Pisa, Italy, October 22-25, 2019, Proceedings
Volume: 無し
Pages: 323-337
DOI
Peer Reviewed
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