2021 Fiscal Year Research-status Report
大域的分散グラフアルゴリズムに対するパラメタライズド手法の確立
Project/Area Number |
19K11824
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
泉 泰介 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (20432461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 鎔煥 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50756773)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 分散アルゴリズム / グラフアルゴリズム / 計算複雑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の計算機が通信リンクで相互接続した分散システムにおいて、ネットワークのトポロジカルな構造に立脚した何らかの組み合わせ最適化問題(最短経路問題、彩色問題等)をネットワーク自身が計算したいという要求は自然な問題設定であり、また多くの応用が存在する。分散グラフアルゴリズムとは、複数の計算機が通信リンクで相互接続した分散システムにおいて、ネットワークのトポロジカルな構造を入力データと見なしてグラフアルゴリズムを実行する枠組みである。本研究では、グラフ理論の基本的な諸問題のうち、特に求解のために大域的な情報収集を必要とする問題(大域的な問題)を対象とし、入力インスタンスの困難性に応じた最適な計算時間を達成する分散グラフアルゴリズムをパラメタライズドアルゴリズムの文脈から模索し,以下に示すような成果を得た.令和3年度に関しては,主に既に得られていた知見を研究論文として刊行することが主な作業であり,具体的には以下の3つの研究テーマについて,論文刊行,ならびに国際会議での採択を得ることができた. (1)低競合ショートカットの手法に基づく,各種グラフパラメタと分散グラフアルゴリズム計算量の関係解明 (2)木幅制限グラフに対する効率的な分散グラフアルゴリズムの統一的設計手法の提案 (3)最大マッチング問題に対する高速なパラメタライズド分散アルゴリズムの発見
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
全体を通して,当初の計画を超える重要な成果を生み出すことができたと感じている.特に研究実績として挙げた成果(1)~(3)については,当初計画していた課題をほぼ完全な形で解決することができたという点で計画は極めて順調に推移したといえる. また,特に(1),(2)の課題に関しては当該分野のトップカンファレンスおよびジャーナルに採択が決定しており,その質も含めていずれの結果も本研究プロジェクトの「顔」と呼べる成果となったと自負している.
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況の欄で述べた通り,当初計画テーマとして考えていた目標はほぼ達成されたと考えている.いくつかの未刊行研究成果が残されているため,まずはそれらの結果の国際会議,ジャーナル等への刊行を進めていきたい.また,本研究終了後に引き続くテーマへと発展させることを目指した,関連分野への研究知見の波及を目指していきたい.具体的には,量子分散計算,動的ネットワーク,確率的コンピューティング,ニューラルネットといった新たな計算パラダイムに対して,分散グラフアルゴリズムの視点からの研究を推し進めていくことを目指す.
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Causes of Carryover |
主に新型コロナウィルス感染症の影響により,出張,海外共同研究者の招へい等の活動が当初の計画通りに遂行できなかったことによる.次年度に関しては海外への渡航,海外からの渡航がかなり緩和されることが期待され,国際会議での成果発表等にて当初計画通りの使途で一定額は利用することが期待されるが,状況に応じて適切に使用計画を修正しつつ研究を進めていく.
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