2021 Fiscal Year Research-status Report
外乱に対して安定な分散アルゴリズムの相互作用パターン
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19K11826
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
角川 裕次 龍谷大学, 先端理工学部, 教授 (80253110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増澤 利光 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (50199692)
首藤 裕一 法政大学, 情報科学部, 准教授 (50643665)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 分散アルゴリズム / 故障耐性 / 自己組織化 / 自己安定アルゴリズム / 分散相互排除 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,自己安定の概念を基礎におき大規模な分散システムを対象として,ネットワーク変動に対する高度な自律性と適応性を実現する分散アルゴリズムの基礎理論に関するものである.特に分散システム内のノードは対等で,集中制御を行う特別なノードが無く,ノード総数が極めて膨大である分散システムを主な研究の対象とする.現在,無線ワイヤレスセンサネットワークではひとつのシステムにおいては数十程度の規模であるが,本研究の目的は,このような限定的なノード数を大きく越えて,大規模数のノードが対等に相互作用する自律的な分散システムの設計技法の確立を目指して研究を進めている. 2021年度は主に,(1)コネクッテッドビークルの交差点進入制御のための分散相互排除,(2)連続監視複数台カメラのための分散制御,(3)自己安定分散2-極大集合,に取り組んで幾つかの成果を上げ,査読付き論文誌や国際会議で発表を行った. コネクッテッドビークルの交差点進入制御のための分散相互排除に関する研究では,信号機などのインフラストラクチャのない交差点において自動運転による自動車の交差点への進入をコネクッテッドビークル同士での完全分散制御で調停する分散アルゴリズムを考案した. 交通事故の約半数は交差点において発生することから,アルゴリズムの正しさは極めて重要であり,提案アルゴリズムには厳密な正しさの証明を与えている点に特徴がある. 連続監視複数台カメラのための分散制御に関する研究では,バッテリ駆動で分散配置した複数台のカメラによる監視を想定し,少なくとも1台,高々2台のカメラで撮影を行うが,バッテリ切れや充電を考慮して実際に撮影を行うカメラを時々刻々と交代させる自己安定分散アルゴリズムを提案した.どの時点でも少なくとも1台は必ず撮影を行う条件を満たす制御手法の設計により,一瞬も切れ目が生じない監視の実現が可能である点に特徴がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は, コネクッテッドビークルの交差点進入制御のための分散相互排除アルゴリズムや,連続監視複数台カメラのための分散制御アルゴリズム,自己安定分散2-極大集合アルゴリズム, に関する成果を出すことができた. しかしコロナの関係で, 実機を使った IoT への実装実験・評価までには手が回らなかったのが残念である.
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Strategy for Future Research Activity |
コネクッテッドビークルの交差点進入制御のための分散相互排除に関するアルゴリズムの高度化,連続監視複数台カメラのための分散制御の応用範囲の拡大に向けたアルゴリズムの高度化,を目指す. また,2022年度は最終年度であることから,オープンキャンパスなどのイベントにて研究成果を分かりやすく一般に展示するために,連続監視複数台カメラ分散制御アルゴリズムをマイコンモジュールに実装し,デモンストレーションシステムを作成したい.
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響により、国際会議や国内研究集会などがオンライン開催となったため、当初予定していた海外出張旅費、国内出張旅費の執行が行えなかった。2022年度にはコロナ禍が収束して旅費の執行が行えることを期待している。
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