2020 Fiscal Year Research-status Report
ネットワークの耐故障性を考慮したグラフ構造的性質に関する研究
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19K11829
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
蓮沼 徹 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (30313406)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 連結度 / 木 / 二股擬単峰キャタピラ / 内周 / 重複内周 / アルゴリズム / Mader予想 / 耐故障性 |
Outline of Annual Research Achievements |
Mader予想とは,位数mの任意の木Tに対して,最小次数が[3k/2]+m-1以上の全てのk-連結グラフGは,G-V(T')がk-連結であるTに同型な部分木T'を含む,という命題である.この予想について,k = 1のときは成立することが知られているが,一般のk >= 2に対しては未解決である.ただし,木Tを特別なクラスに限定した場合の肯定的結果は知られている.本研究では,k = 2のMader予想が成り立つことが知られていた木のクラスを拡張できることを示し,さらに木Tに制約を付けるのではなく,2-連結グラフGに制約を付けた場合の肯定的結果も示した.2-連結グラフGに制約を付けた肯定的結果はこれまでに知られていなかった.より具体的には,以下の結果を証明した. 1.任意の二股擬単峰キャタピラTに対して,k = 2に対するMader予想が成り立つ.ここで,二股擬単峰キャタピラのクラスはキャタピラのクラスを真に含むより広いクラスである.また,このクラスは直径が位数-4以上の木のクラスも含んでいる. 2.内周が最小次数-8以上の任意の2-連結グラフGに対して,k = 2に対するMader予想が成り立つ. 3.内周が4以上かつ最小次数-7以上の任意の2-連結グラフGに対しては,k = 2に対するMader予想の最小次数の下界を1だけ減らしても命題が成り立つ. 4.上記3の結果において,内周を重複内周に置き換えることが可能である.ここで重複内周は常に内周以上であることから,より強い結果が成り立つ. 5.上記の全ての結果の証明は構成的であり,条件を満たす2-連結グラフGが与えられたときに所望の木Tを計算するO(|V(G)|^4)時間アルゴリズムを与えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
k = 2に対するMader予想の木Tに制約を付けた既知結果を含むより拡張した肯定的結果を示し,また2-連結グラフGに内周条件を付けた肯定的結果を新たに示し,さらにこれらの構成的証明から,多項式時間アルゴリズムを導出した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,Mader予想の変形版,即ち,位数mの任意の木Tに対して,全てのk-連結グラフGは,G-E(T')がk-連結であるTに同型な部分木T'を含む,という命題が成立するための,Gの最小次数の下界について考察を進める.
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Causes of Carryover |
国際会議に投稿した論文が受理され,フランスのボルドーに出張し発表する予定であったが,新型コロナウィルスの影響で現地開催が中止されオンライン開催となったことから,次年度使用額が生じた. 使用計画:国際会議での研究発表に要する旅費を次年度研究費(旅費)と併せて使用する予定である.
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Research Products
(1 results)