2021 Fiscal Year Research-status Report
ネットワークの耐故障性を考慮したグラフ構造的性質に関する研究
Project/Area Number |
19K11829
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
蓮沼 徹 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (30313406)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | グラフ / 木 / k-樹連結グラフ / ページナンバー / 完全独立全域木 / 本型埋込 / 増大問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
完全独立全域木はネットワークの耐故障性を考慮した通信問題や保護ルーティングへの応用を持ち,近年様々なネットワークにおいてその存在及び構成法が調べられている.グラフGが k本の完全独立全域木を持つとき,Gはk-樹連結であると定義する.木とはサイクルを持たない連結グラフであり,最も基本的なグラフ構造の一つであるとともに,レイアウトの観点からも良い性質(例えば,木は1ページに埋込可能)を持っているが,耐故障性の観点からは1頂点あるいは1辺を取り除いただけで非連結になるという欠点を持っている.本研究では,これらの観点を動機として,レイアウトに関する良い性質を保持しつつ耐故障性を増加させる木の増大問題,より具体的には,本型埋込の良い性質を保持した k-樹連結グラフへの木の増大問題を考え,以下の結果を証明した. 1.頂点数nの任意の木Tは,任意の2≦k≦rad(T)に対して,ページナンバーkの最小k-樹連結グラフに O(kn)時間で増大可能である,ここでrad(T)はTの半径を表す. 2.頂点数nの任意の連結グラフGは,任意のn'(G)/2≦k≦n/2 に対して,ページナンバーkの最小k-樹連結グラフにO(kn)時間で増大可能である,ここでn'(G)はGの次数2以上の頂点の数を表す. 3.頂点数nの任意のキャタピラTは,任意の2≦k≦n/2に対して,ページナンバーkの最小k-樹連結グラフにO(kn)時間で増大可能である. なお,1の結果はカクタスと単サイクルグラフに拡張可能である.ただし,カクタスGの場合にはkの範囲はGの最長サイクルの長さをpとして,p/2<k≦rad(G)となる.また,3の結果は任意の木に拡張できるのではないかと予想している.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
木という基本的なグラフ構造を基に,良いレイアウト特性を保持しつつ耐故障性を増大させるという問題を考え,これら2つの観点から最適な結果を,kに関して制約付きではあるが証明した.さらにキャタピラというクラスに限定した場合にはkの制約を取り去ることができることも証明した.
|
Strategy for Future Research Activity |
ネットワークの耐故障性の観点から,完全独立全域木の構成が重要であり,今後は線グラフを対象に,連結度と完全独立全域木の数に関して考察を進める.また,昨年度に考察したMader予想の辺に関する変形版についても引き続き考察を進める.
|
Causes of Carryover |
国際会議に投稿した論文が受理され,カナダのオタワに出張し発表する予定であったが,新型コロナウィルスの影響で現地開催が中止されオンライン開催となったことから,次年度使用額が生じた. 使用計画:国際会議での研究発表に要する旅費を次年度研究費(旅費)と併せて使用する予定である.
|
Research Products
(1 results)