2022 Fiscal Year Research-status Report
線形計画問題に対する離散・連続融合アルゴリズムの開発
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19K11830
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北原 知就 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (10551260)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 線形計画問題 / 最小ノルム問題 / 単体法 / 強多項式アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は主に、(a)線形計画問題に対する新しいアルゴリズムの理論面、実装面の研究、(b)これまでの研究の論文投稿・学会発表、(c)線形計画問題に対する最急降下規則の単体法のまとめ、(d)関連研究の調査、の4点を行った。それぞれの詳細は、次の通りである。 (a)線形計画問題に対する新しいアルゴリズムの理論面、実装面の研究:本年度は昨年度に引き続き、国内外の研究者と線形計画問題の新しいアルゴリズムについて共同研究を行った。提案アルゴリズムは、正確には最小ノルム問題を解くアルゴリズムであるが、特殊ケースとして線形計画問題も解くことができる。共同研究の結果、提案アルゴリズムの反復回数について、理論的な上界を与えることができた。また、提案アルゴリズムを数値計算ソフトウェアを用いて実装し、その挙動を詳細に調べた。その結果、提案アルゴリズムが多くの場合、既存のアルゴリズムよりも効率的であることがわかった。 (b)これまでの研究の論文投稿・学会発表:(a)の結果を論文にまとめ、一流の国際会議の査読付き抄録として投稿した。査読者からは提案アルゴリズムについて好意的な評価が得られ、抄録に採択されることが決まった。また、提案アルゴリズムを国内の学会で発表した。その際に他の研究者と意見交換でき、今後の研究を推進していくうえで有益な示唆が得られた。 (c)前年度に国内の学会での発表に基づき、線形計画問題に対する最急降下規則の単体法のまとめた。結果は共同研究リポートに掲載された。 (d)関連研究の調査:文献調査を通じて、研究課題に関連する研究の調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、昨年度から検討していた線形計画問題に対する新しいアルゴリズムについて引き続き研究し、提案アルゴリズムの理論面、実装面で結果を得ることができた。その結果を論文にまとめることができ、一流の国際会議の査読付き抄録に採択されることが決まった。また、提案アルゴリズムを国内の学会で発表することができた。以上のことから、本研究課題はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は主に、2022年度に検討していたアルゴリズムの簡素版の研究を進めていきたいと考えている。その詳細は以下のとおりである。 2022年度まで検討していたアルゴリズムにおいて、その一部の手順を省略した簡易版のアルゴリズムでも効率的に機能することを数値実験によって確かめた。本年度はこの簡易版アルゴリズムの性能について理論的な保証を与えることができないかを検討する。また、数値実験を行い、提案アルゴリズムの挙動を詳細に解析する。
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Causes of Carryover |
申請時には、国内外の学会に参加し、最新の研究成果を吸収することと、他の研究者との交流を重視し、旅費を多めに計上していた。しかし、新型コロナウイルスの発生により、関連学会のオンライン化や延期が相次ぎ、2022年度はまで一度も出張を行うことができなかった。そのため、旅費として予定していた研究費を使用しなかっため、次年度使用額が大きくなっている。2023年度は、4月時点でコロナウイルスの状況がかなり改善しているため、関連学会に参加し、その際に予算の未使用分を充てることを検討する。
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