2019 Fiscal Year Research-status Report
セキュリティレベルを更新可能とするアクセス構造を備えた最適秘密分散に関する研究
Project/Area Number |
19K11835
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
吉田 真紀 国立研究開発法人情報通信研究機構, サイバーセキュリティ研究所セキュリティ基盤研究室, 主任研究員 (50335387)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 秘密分散 / 更新 / 最適化 / 暗号資産 |
Outline of Annual Research Achievements |
暗号資産の爆発的な普及により暗号の秘密鍵そのものが金銭価値をもち,鍵管理システムのセキュリティが喫緊の課題になっている.本研究の目的は,鍵管理システムが攻撃されてもシステム全体の被害を局所化・無効化する代表技術である秘密分散において,さらなる被害の封じ込めに不可欠なセキュリティレベルの更新と,効率性に不可欠なシェアサイズの最小化を実現する技術の研究開発である. そのために以下を実施する. (a)セキュリティレベルの更新を可能にするアクセス構造を備えた秘密分散の定義. (b)暗号応用に不可欠なシェア上の各種特性を担保する更新手法の確立. (c)実応用に不可欠なシェアサイズの最小化を達成する最適な秘密分散手法の確立. 2019年度は,従来研究における秘密分散のセキュリティレベルの定義と,暗号応用先の要件を元に,セキュリティレベルの更新を可能にするアクセス構造を備えた秘密分散の定義を検討した.従来の鍵管理を想定した定義では単調構造(モノトーン)だが,本研究では単調なアクセス構造以外も対象にすることで,鍵管理における多様かつ柔軟な被害の封じ込めを可能にし,暗号応用先の幅を広げた.そして,従来および新たな暗号応用における秘密分散の定義との互換性の確認として,(1)まず定義から求まるシェアと乱数のサイズの下界を導出し,(2)さらに暗号応用先であるシェアした秘密の上での演算と正しさ検証の実現可能性を証明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の予定のうち,理論基盤として不可欠な項目において肯定的な結果が得られており,順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
秘密分散の研究は全世界的に行われており,近年は海外における進展が著しいため,海外研究者と緊密な研究討論を遠隔(オンライン)であっても可能にするための機器とツールの購入を検討する.
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Causes of Carryover |
秘密分散の研究は全世界的に行われており,近年は海外における進展が著しいため,海外の先進的な研究成果の調査と,海外研究者とのより緊密な研究討論の旅費を計上していたが,新型コロナウィルスの問題により出張および打ち合わせに要したソフトウェアの購入が延期となったため.
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