2020 Fiscal Year Research-status Report
Stationary analysis of a multi-dimensional reflecting random walk and its application to queueing networks
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19K11845
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小林 正弘 東海大学, 理学部, 准教授 (90609356)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 反射型ランダムウォーク / 待ち行列理論 / 定常分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
多次元ランダムウォークの推移を非負整数値に限定した境界を作った確率過程を多次元反射型ランダムウォークという。多次元反射型ランダムウォークは,多くの待ち行列ネットワークを表現できるため,応用としても活用範囲が広いモデルである。 本研究では,待ち行列ネットワークのシステムの安全設計のために,多次元反射型ランダムウォークの定常分布の理論的解析を行う。待ち行列理論において,待ち行列システムの性能評価を行う際に,平均待ち時間や平均系内人数などが実際のシステムの設計や運用に役立つ。待ち行列システムを確率過程で表現した上で,その確率過程の定常分布が求めることにより,平均待ち時間や平均系内人数などを求めることができる。つまり,確率過程の定常分布を理論的に求めることが非常に重要となる。しかし,待ち行列システムを表現した確率過程に対して,多くの場合定常分布を解析的表現で求めることは困難である。 一方,定常分布を解析的表現で求めることができなくても,定常分布の存在条件や解析的表現を持つ十分条件,漸近的な特性などを求めることができれば,システムの性能評価に役立てることができる。 本研究においても,定常分布の存在条件や漸近的な特性などに注目する。多次元反射型ランダムウォークの定常分布の解析において,次元を2に仮定した場合,研究は盛んに行われており,定常分布の存在条件や漸近的な特性など,多数の理論的な結果も導出されている。しかし,3次元以上の仮定をした場合,定常分布に関する理論的な結果はほとんどない。よって,本研究で理論的な結果の導出を目指す。本研究を行うことによって,応用の側面のみならず,確率過程の定常分布の解析的証明という意味で,理論的な側面についても進展することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度に3次元反射型ランダムウォークの定常分布に対して理論解析を行い,報告をした。2020年度においては,2019年度の結果の一般化を行った。非負の確率過程に対して,定常分布の積率母関数が正の部分で存在するとき,その定常分布をlight tailであるという。2020年度には,kを任意の自然数とし,次元を一般化した,k次元反射型ランダムウォークに対し,定常分布が存在しかつlight tailである十分条件を導出した。この結果は以下で口頭発表を行っている。 [1] 小林 正弘 (2021) k次元反射型ランダムウォークの定常分布における安定かつlight tailである十分条件について,第293回待ち行列研究部会 現在,この結果を論文に執筆している。
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Strategy for Future Research Activity |
多次元反射型ランダムウォークの定常分布が存在するかつlight tailである十分条件を理論的に求めた。2次元反射型ランダムウォークにおいては,light tailである条件から,定常分布の積率母関数が収束する領域と発散する領域を導出できた。よって,多次元反射型ランダムウォークにおいても,同様の手順で収束領域を求めることができると予想される。 さらに,2次元反射型ランダムウォークにおいて,その収束領域から定常分布の漸近な特性や解析的表現を持つ十分条件などが導出できる。これも同様に,多次元反射型ランダムウォークにおいて同様の手順で導出される事が期待される。これらの研究に今後着手していく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍において,国内を含め出張がほとんどできなかったため。
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