2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of Universal Theory in Constructing Objective Priors in Classical and Quantum Statistical Models
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19K11860
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 冬彦 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (90456161)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 情報幾何 / ベイズ統計 / 量子計算機 / 量子トモグラフィ / 客観事前分布 / 片側切断分布族 / 施設配置問題 / 複素射影空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
量子情報に関しては、超伝導量子ビットのデータ解析での推定手法に関する先駆的な研究論文を発表した。ここで展開した一般論をベースにして、より詳細・具体的な推定手法を計算量と数値精度のトレードオフに注意しながら検討している。例えば、非線型最適化問題を解く上で、高速化の手法が必要となるが、交互最適化といった機械学習でみられるアルゴリズムなどを流用することも検討した。理論上は問題ないため、現在、数値的な検証を継続している。 また、情報幾何学的な観点では、2021年度に取り組んでいた非正則なモデル多様体に関する研究が急速に進んだ。Chentsovの定理が使えないモデルにおいて、片側切断分布族であればフィッシャー情報行列が正則方向と非正則方向で直和分解できることが明らかになった。そのため、従来、非正則モデルとして情報幾何学的なアプローチがされていなかったモデル多様体について、リーマン幾何学でとらえることができるようになった。特に数理統計で古くから知られている2次元の非正則統計モデルのいくつかは、リーマン多様体として定曲率空間になることも示された。一方で、非正則モデルで形式的にα接続を定義しても、双対接続(共役接続)は自然に導出することはできず、正則モデルとのギャップも明らかになった。さらに、量子情報に出てくる非正則モデルについては、reference 事前分布に相当するものについてベースとなる基礎理論から提案する試みを行った。その結果、施設配置問題というORにおける数理的な問題と類似の構造を複素射影空間上で考えるという新たな基礎理論を構築できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナの環境下が継続しているが、オンラインでの研究打ち合わせなど、柔軟に対応できるようになった。その結果、これまで遅れていた部分を取り戻すことができた。研究としてはいくつかのプロジェクトを並行して進めているが、現在、どれも順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
量子系の非正則モデルについての事前分布の構成方法と基礎理論について、一連の成果を発表する。 また、情報幾何における非正則モデルの取り扱いについても、ある程度の知見がたまった段階で発表する。 量子計算機への応用は、パラメータ空間に境界があるような場合の信頼区間を求める近似手法について先行研究を参照しつつすすめていく。そこでは、マッチング事前分布などのベイズ統計の理論的な話題も有用であると考えられる。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響でオンラインでの会議やミーティングが進み、想定した旅費相当分が削減されたので。当初、計上していなかったオープンアクセスジャーナルの掲載料や計算機のリプレースなどに利用する。
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Research Products
(1 results)