2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Universal Theory in Constructing Objective Priors in Classical and Quantum Statistical Models
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19K11860
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 冬彦 大阪大学, 全学教育推進機構, 教授 (90456161)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 情報幾何 / ベイズ統計 / 量子計算機 / 量子トモグラフィ / 客観事前分布 / 最小エントロピー / 強化学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
時系列モデルに限らず、複素化した統計モデルがケーラー多様体の構造を持つ場合、優調和事前分布の存在条件は平易な形にかける。本研究では、その逆を考え実統計モデルについて、ケーラー構造の存在から優調和事前分布を検討する方法を提案し、負の3項モデルで示した。また、研究提案当初は、時系列モデルでのベイズ統計を想定していたが、機械学習への応用などでガウス過程を考えることが多く、強化学習におけるガウス過程での客観事前分布の利用にも着目した。基礎的な部分を定式化するという観点で、ガウス過程を用いた強化学習についてのオンラインアップデートの公式と数値検証の結果も得た。以上が2022年度の実績の概要である。 次に、研究期間全体の成果の概略は以下の通りである。まず、複素ARMAモデルなど時系列モデルの実パラメータを複素化すると幾何構造はシンプルになるが、それは、制約や対称性が入った特殊な統計モデルに対応し、応用上は望ましくないことが判明した。そこで、上に述べたような新たな方法を提案した。また、カイ二乗ダイバージェンスを用いたreference 事前分布の一種が1/2平行事前分布になることを示した。 客観事前分布に関する理論の量子統計モデルへの拡張では、研究期間全体を通じて大きな一歩を踏み出した。純粋状態族の場合のreference 事前分布に相当する客観事前分布は、施設配置問題を複素射影空間上で考えることで得られるという新たな基礎理論を構築できた。これは通信路容量とreference事前分布の関係性の量子版といえる。また、純粋状態族の場合、従来のエントロピーではなく最小エントロピーが基礎的な概念であることも示された。 一方で、実際の実験も念頭に置いた客観ベイズ分析の一般論に向けての研究(共同研究)は、その最初のステップとして、超伝導量子ビットのデータ解析での推定手法に関する先駆的な研究論文を発表した。
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Research Products
(6 results)