2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K11864
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
田中 秀和 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50302344)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Ushakov bound / Bienayme-Chebyshev bound / Pareto distribution / Shape parameter |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下の2点について成果があった. 1.裾確率を評価する不等式としてBienayme-Chebyshevの不等式が知られている. 一方, 分布に単峰形を仮定した場合, 連続型ではGaussの不等式, 離散型ではUshakovの不等式が知られている. Gaussの不等式はBienayme-Chebyshevの不等式より良い上限を与えることが示されるが, Ushakovの不等式は状況によってはBienayme-Chebyshevの不等式より悪い上限を与える場合がある. この事実はUshakovの不等式に改良の余地があることを示唆している. 本研究ではUshakovの不等式を改良する上限を提案し, さらにBienayme-Chebyshevの不等式より良い上限を与えることを示した. この応用として, 分布に離散単峰形を仮定した場合の3シグマルールについて考察した. なお, 本研究成果は学術雑誌に採択された. 2.Pareto分布の形状母数の推定問題を尺度母数に制限がある場合について考えた. この問題についてはPatra and Kumar (2017)が幾つかの推定量を提案し, それらのリスク関数を比較した. また, シミュレーションによってStein型推定量を推薦している. しかしながらここでの推論には明確な根拠を見つけることはできない. 本研究ではStein型推定量を含め, Patra and Kumar (2017)が扱った全ての推定量を優越し, かつ2次漸近許容的な推定量を提案し, シミュレーションによっても新しく提案した推定量の良さを認識することが出来た. なお, 本研究成果は学術雑誌に投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的1「正則分布において, 被推定関数がベクトルの場合に, 修正最尤推定量が2次漸近許容的となるための必要十分条件, および改良法の導出, 特定の分布への応用」目的3「特定の正則分布における従来の推定量の2次漸近許容性について」については残念ながら手付かずである. 一方, 目的2「非正則分布における修正最尤推定量の2次漸近許容性について」は部分的ではあるが一定の成果を得ることが出来た. なお, この結果は学術雑誌に投稿中である.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)母集団分布の確率密度関数の台が未知母数に依存するという意味で非正則の場合に修正最尤推定量の2次漸近許容性に関する理論的な研究は煩雑だと思っていたが, 今回, Pareto分布の形状母数の推定問題を尺度母数に制限がある場合について考察することにより比較的一般論での理論展開が可能であることがわかった. このことを踏まえ, 正則な場合も考慮に入れながら統一的な理論の確立を目指す. (2)Ushakov boundの改良に伴い, その他の確率のより優れたboundの導出が期待される. また, 平均, 分散, 分布関数間のより精密な関係の導出についても取り組む.
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Causes of Carryover |
高次漸近許容性に関する研究を研究協力者である Prof. Pal と行うため, University of Louisiana at Lafayette (USA) への出張を3月23日~4月2日に予定していたが、新型コロナウィルス蔓延の件で断念せざる得なかった. 次年度, 夏休みか春休みに同じ目的で同じ場所へ同じぐらいの期間の出張を計画している.
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