2019 Fiscal Year Research-status Report
因果推論の方法論に対応する正確な統計解析手法の開発
Project/Area Number |
19K11871
|
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
千葉 康敬 近畿大学, 大学病院, 准教授 (80362474)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 因果推論 |
Outline of Annual Research Achievements |
区間推定は平均因果効果の推定精度を測るために必須である。しかし、通常用いられる区間推定のための統計解析手法は因果推論の方法論に対応していない。そのため、通常の方法で推定された区間推定値は平均因果効果の区間推定値とは言えない。平均因果効果の存在範囲の外の値として推定されることもある。このとき、区間推定と表裏一体の統計的仮説検定の結果も不正確となる。本研究では、平均因果効果の区間推定方を議論する。 初年度である今年度は、結果変数が2値変数の場合を議論した。観察研究で用いられることがある標準化の方法を応用するという方針で検討を進めた。5月には、招待講演の機会を与えてくださったInternational Causal Inference Conferenceにおいて、研究速報のような形で発表させて頂いた。その後も研究を進め、論文を投稿することができた。 提案した方法には、「もし曝露を受けたら」という場合の潜在的な結果と「もし曝露を受けなかった」という場合の潜在的な結果の間の共分散がわからないという欠点がある。しかしながら、多くの場合、これら2つの潜在的な結果が負に相関することはないと考えられる。このことを条件に加えることで、保守的な区間推定法として提示した。それでも、提案した方法で算出された保守的な信頼区間は、通常の方法で算出された信頼区間よりも必ず狭くなる。これは、臨床研究においては対象者数を減らせる可能性があることを示唆している。 論文の採否はまだわからない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で記載した内容を順調に進めることができた。ほぼ当初の計画通りの進捗状況と言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
投稿中の論文を採択させることを最優先で行う。査読者のコメントを真摯に受け止め、より質の高い論文になるよう改善していきたい。 次年度は、これまで行ってきた結果変数が2値変数の場合の方法の、結果変数が連続変数、生存時間の場合への拡張を検討する。 また、単群試験への適用可能性についても検討する。
|
Causes of Carryover |
サブコンピュータが予期せず故障した。そのため、急遽サブコンピュータを購入した。これに伴い、予定していたメインコンピュータの購入資金が不足してしまった。 今年度の残金と次年度の予算を合算することでメインコンピュータを購入する予定である。
|