2019 Fiscal Year Research-status Report
Persistent Managed Heap on Non-Volatile Memory
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19K11904
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
鵜川 始陽 高知工科大学, 情報学群, 准教授 (50423017)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 不揮発性メモリ / マネージド言語 / ガーベージコレクション / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,不揮発性メモリの実機を使って,その基本的な性能を調査した.その結果,2年目に予定してる,永続化ヒープの設計のために有用な知見を得ることができた.また,トランザクショナルメモリを用いて,不可分な操作を永続化するライブラリであるNV-HTMの性能を調査した.その結果,NV-HTMには性能上のボトルネックがあることを確認した.このボトルネックを改善することで,2年目に開発する永続化ヒープを持つシステム上での不可分操作に利用できる見込がある. 不揮発性メモリは,通常のDRAMと混載して主記憶として計算機システムに搭載できる.不揮発性メモリに書き込まれたデータはDRAMと異なり,電源が切れても保持され続ける.しかし,不揮発性メモリへの書込みはキャッシュメモリを介して行われ,キャッシュメモリ上のデータは電源が切れることで失われる.書込んだデータを永続化するためには,該当するキャッシュラインのデータを書き戻す命令を発行し,その完了を待つ必要がある.これは,CPUのキャッシュ機構を無効にすることに近く,性能上のペナルティが大きいと予想される.本研究では,連続領域をDRAMからNVMにコピーするという想定で,命令の順序や頻度を変えながら,ペナルティを計測し,不揮発性メモリの定性的な性能モデルを構築した. 不揮発性メモリへの複数の書込みから構成される不可分な処理は,トランザクショナルメモリのアイデアを使って,不可分的に永続化するという研究が行われている.本研究でも,アプリケーションが永続化ヒープへの不可分な操作を行うためにトランザクショナルメモリを提供することが考えられる.そこで,C++向けのライブラリであるNV-HTMを利用できるか調査した.その結果,NV-HTMには性能上のボトルネックは存在するものの,改善できそうな見込みがあることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた,不揮発性メモリの実機の調達や,それを用いた基本的性能の調査は順調に終えることができた.また,より応用的な使い方であるトランザクショナルメモリでの利用についても,NV-HTMの調査を行った.トランザクショナルメモリライブラリの利用は当初の計画には入っていなかったが,2年目以降で計画を円滑に進めるために追加で行った. 新型コロナウイルスの影響で3月の国際会議の現地開催は中止となったが,オンライン開催によって最低限の情報は収集できた.ただし,発表者や関連する研究者と直接会話する機会が得られなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は,ガーベージコレクションを含む永続化ヒープのアルゴリズムの設計を予定している.2019年に,他の研究グループによって不揮発性ヒープがプログラマに提供すべきプログラミングモデルと,その実装のためのアルゴリズムが提案された.このプログラミングモデルは,本研究が目指しているものと似ている.しかし,そのアルゴリズムは本研究の計画とは異なり,典型的なプログラムに対して一定のオーバヘッドがかかると考えられる. 当初,本研究ではシステム全体を我々だけで設計する予定だった.しかし,このグループのアルゴリズムを基に設計を変更し,実装を進めていく予定である.この方針で,既にアルゴリズムの設計を始めている.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により,3月に参加を予定していた国際会議の現地開催が中止になった.そのため,旅費と参加費を使用しなかった.未使用額は今年度以降の学会参加に使用する予定である.
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