2019 Fiscal Year Research-status Report
骨格構造の動的変更を可能にする開いたシステムのためのアーキテクチャ構成方法論
Project/Area Number |
19K11908
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
野田 夏子 芝浦工業大学, デザイン工学部, 准教授 (60707701)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ソフトウェアアーキテクチャ / 変更容易性 / IoTシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、IoT時代の主流である開いたシステムにおいて、構成要素間の関係の変更も含めてアーキテクチャの動的な変更を可能とする超柔軟なアーキテクチャ構成方法論を確立することである。IoTシステムでは、エッジとクラウドを含めた全体における機能やデータの適切な配置、コンポーネントの役割関係等がリリース後にも変化する等、近年のシステムにおいては変化が激しく、こうした変化に備えてアーキテクチャを柔軟化できる技術の開発は非常に重要である。本研究は、アスペクト指向モデリングを用いて、アーキテクチャの柔軟化を図るものである。2019年度においては、アーキテクチャを動的に変更するための基本メカニズムの解明を行った。本メカニズムは、アーキテクチャの構成要素であるコンポーネント間の関係を関係ルールとして表現し、この関係ルールを可変なデータとして管理する。このデータを実行時に解釈することにより、実行時にアーキテクチャを決定する。このようにして、動的なルールの変更によるアーキテクチャの柔軟化を実現することができた。また、このルールの動的変更のレベルを、変更の瞬間はシステムを停止、と設定して、本メカニズムに基づき例題システムを実装し、実際にアーキテクチャを動的に変更することが可能であることを確認した。変更の瞬間にシステムを停止することが許される場合にアーキテクチャの変更が可能であることが確認できたため、システムのバージョンアップ等において利用することが期待できる。また、今後、この方式をもとにIoTシステムを対象としたアーキテクチャ構成フレームワークの構築が可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で明らかにしようと計画している、関係ルールの動的解釈によるアーキテクチャ柔軟化基本メカニズムについて、解明することができた。また、アーキテクチャを動的に変更するための具体的方式については、動的変更のレベルを「変更の瞬間はシステムを停止」とした場合についてのみ、明らかにすることができている。動的変更のレベルの限定は、当初予定の通りである。さらに、システムに対して加えられる様々な変更は、システムの使われ方の変更を背景としており、使われ方の分析とその体系的な記述方法の検討も必要であることがわかり、この初期検討も行った。 このように、当初の計画に従ってアーキテクチャ柔軟化メカニズムと具体的方式の検討ができていること、さらに今後の拡充のための検討にも着手できていることから、おおむね順調な進捗と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
解明したアーキテクチャ柔軟化基本メカニズムとアーキテクチャを動的に変更するための具体的方式に基づき、その機能範囲にてIoTシステムを対象としたアーキテクチャ構成フレームワークの要件検討、設計、部分的な試作を行う。また、動的変更のレベルの整理を行い、アーキテクチャを動的に変更するための具体的方式を、様々な変更のレベルに対応できる方式に拡張する。 今年度においては、大規模なシステムを想定した実験が困難であるため、アーキテクチャ構成フレームワークの試作においては小規模なシステムを対象としたものに限定し、評価実験の範囲も制限する。一方、動的変更のレベルの拡張等、理論的な検討については先行して行うこととする。
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Causes of Carryover |
IoTデバイスをアーキテクチャ動的変更の具体的方式の考案のために購入予定であったが、2019年度においては保有しているデバイスと仮想的な環境のみで検討を行うことができたため、購入を見送った。 最終年度に向けたIoTシステム事例構築のためのデバイス購入に充てることとし、2年目から最終年度の間により大規模の事例構築のために使用する。
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