2020 Fiscal Year Research-status Report
問合せ解像度に基づいた情報交換・公開フレームワークの開発
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19K11912
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
石原 靖哲 南山大学, 理工学部, 教授 (00263434)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | データ交換 / 情報公開ポリシー / 問合せ解像度 / CQ-rewriting |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は,南山大学理工学部の大学院生1名と4年生1名の協力を得て,以下の二点に関して研究を実施した. まず,理論的検討として,前年度までに得たターゲット側ポリシー導出アルゴリズムではソース側の関係を用いてポリシーを導出していたが,これには応用上の観点から大きな問題があることを発見した.そこで,F. Afratiにより2011年に提案されていたCQ-rewritingという概念およびその導出アルゴリズムを利用して,あらためて適切なターゲット側ポリシーの形式的定義を与え,それを導出するヒューリスティックアルゴリズムを提案した.この成果は国際ワークショップSFDI2020で発表した.なお,その後,このヒューリスティックアルゴリズムが正しくない答えを出力する場合があることとその原因を明らかにしており,2021年度中に国際学会等で発表すべく準備を進めている. 次に,上で提案したターゲット側ポリシー導出のヒューリスティックアルゴリズムの実装に着手した.CQ-rewritingの導出においては,連言問合せを関係データベースに対して評価する処理や,連言問合せ中の変数を一時的に定数とみなす処理が必要になる.実装に用いたProlog言語は,関係データベースに対して連言問合せを評価する機能を組込みでもっている一方で,定数と変数を自由に置き換える機能は提供されていないため,現時点では固定の入力に対してCQ-rewritingを計算できることを確認したにとどまっている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上で述べたように,2020年度当初に,2019年度に得た理論的成果には応用上大きな問題があることを発見した.そのまま推し進めるという選択もあったかもしれないが,応用上の観点からより意義のある成果を得るべく,理論的検討のやり直しという選択をとった.幸い,CQ-rewritingの概念およびそれに関する既存の成果をうまく活用することができたため,それほど大きな遅れにはならなかったと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では,一般の連言問合せについて,2020年度に定義した意味で「適切」なターゲット側ポリシーを導出するアルゴリズムを与えるのはかなり難しいのではないかという感触を得ている.そこで,まずは,提案済みヒューリスティックアルゴリズムが正しい答えを出力するための十分条件を与えることを目指す.同時に,大学院生の協力を得ながら,ヒューリスティックアルゴリズムの実装を完成させる.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた最大の理由は,上に述べたように2020年度当初に理論的検討をやり直したため,当初計画と比べて実装に着手するのが大きく遅れたからである.さらに,COVID-19の影響で報告者の所属する大学では海外渡航が2020年度の間はずっと禁止されていたため,当初計画で海外旅費として計上していた分が残ってしまった. 2021年度は早々にワークステーションを購入し,本格的な実装に着手する予定である.また,参加費のみで参加可能な,オンラインやハイブリッドで行われる学術集会にもっと積極的に参加することで,情報収集や成果発表のために計上していた旅費を有効に活用する.
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