2019 Fiscal Year Research-status Report
バックスキャッタ通信と無線電力伝送を融合するための研究ツールの開発
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19K11923
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木崎 一廣 大阪大学, 情報科学研究科, 特任研究員 (00838766)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バックスキャッタ / Backscatter / IEEE.802.15.4 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終的には、数十μWの消費電力で動作するバックスキャッタ通信と数mWの無線電力供給を前提として、「1. バックスキャッタ送信と無線電力受信を具備したIoT デバイス」と「2. 搬送波送信・バックスキャッタ受信・無線電力送信を具備した協調型アクセスポイント」を実現し、その上で動作する「3. 既存の無線通信・バックスキャッタ通信・無線電力伝送が共存可能なMAC プロトコル」を実証する。 2019年度は、MACプロトコルとしてIEEE802.15.4を搭載したボタン電池で動作するバックスキャッタ・モデム装置、受信装置、無線電力供給装置を製作して、シールドテント内で通信の実験を行った結果、距離3.5m以上で通信可能なことが確認できた。無線電力供給装置は電波法に基づく技術基準適合制度(技適)試験をテレコムエンジニアリングセンターで受け合格し、情報処理学会のDcomo2019のデモセッションに出展した。 その後、無線電力供給装置及び受信装置は、TexasInstruments社製の新しい無線用IC CC1352Pそれぞれ1個で実現できる可能性がありソフトウエアを実装して確認した結果、問題なく動作することが確認できた。これにより市販のハードウエアを使用出来、低価格である。ソフトウエアの開発はTexasInstruments社の無償の開発ツールCCSで行える。無線電力供給装置は技適に適合する方式で電波を発生出来ることを確認した。 バックスキャッタは微弱な電波を用いて通信を行うため電波伝搬特性(マルチパス、フェージング)の影響を強く受け、電力供給装置、モデム装置及び受信装置の設置位置により通信出来たり出来なかったりする現象があり、これを回避するために無線周波数を変化させて通信する方式の実装・実験を行い回避できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以前から可能な範囲の基礎的な検討・実験を行っていたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度はバックスキャッタ・モデム装置への無線による電力供給を中心に研究を行う。「1. バックスキャッタ送信と無線電力受信を具備したIoTデバイス」の電力受電部分として、微小な電力を受電して整流する回路、通常の電子デバイスは2V程度以上の電圧がないと動作しないため受電した電圧数十mVを昇圧する回路、エネルギーハーベスト的に受電した電力を蓄電する回路などの実装を行う。 「2. 搬送波送信・バックスキャッタ受信・無線電力送信を具備した協調型アクセスポイント」の電力送信部分として、複数の出力を備え、給電周波数、位相、電力を変化させることが出来る装置を用いて、複数のアクセスポイントが協調してIoT デバイスにより大きな電力を供給する方式の研究を行う。 例えば、協調型アクセスポイント数十台が電波伝搬特性の影響を回避するため位相を変化させ、IoTデバイスが受電電力を測定してフィードバックして最大電力が得られる最適位相を得るとすると、位相の組合せは膨大な数になり、長い時間が掛かることが想定されるため、短時間で最適位相を得る方式の研究を行う。 2021年度は、2019年度のバックスキャッタ通信と2020年度の無線による電力供給を統合した、アクセスポイント及びIoTデバイスについて検討する。
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Research Products
(6 results)