2021 Fiscal Year Research-status Report
データセンターネットワークにおけるスループット急落の回避に関する研究
Project/Area Number |
19K11926
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
横平 徳美 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 教授 (50220562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 行信 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (00432625)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 情報ネットワーク / データセンターネットワーク / インキャスト |
Outline of Annual Research Achievements |
分散ファイルシステムを採用しているデータセンターネットワークにおいては、多数のサーバが、ほぼ同時に、1台のクライアントに向けてデータを送信しようとすることがしばしば起こる。このとき、イーサネットスイッチのポートにおいてバッファーオーバーフローが起こり、スループットが0に近い値に急落する状況(インキャスト)が起こってしまうことがある。本研究の目的は、分散ファイルシステムにおいて、各サーバのデータ送信終了時間の公平性を気にする必要はなく、全サーバがデータ送信を終了するための時間が重要であることに着目して、サーバからのデータ送信を直列化することにより、インキャストを回避しつつスループットを最大にする方法を考案し、実際に実験ネットワークでその有効性を実証することである。 2021年度は、データセンターネットワークにおける各リンクの伝送速度、イーサネットスイッチのポートバッファサイズ、サーバから送信されるデータ量(ユニットサイズ)等が与えられた時、インキャストを回避し、かつ、スループットを最大化できる同時設定(同時に並列化できる)コネクション数を求めることができる方法(拡張コネクション直列化法)の有効性に関して、2020年度に引き続いて検証した。 また、高精度のカーネルタイマーを使用して、最小タイムアウト値を従来の200ミリ秒から数100マイクロ秒にすることにより、インキャストを回避しようとする従来の方法をベースとして、クライアントからサーバに再送要求を出すことで、インキャスト回避の可能性を高くできる方法を2019年度に提案し、2020年度はこの方法を改良したが、エラーを内在していたので、2021年度はさらなる改良を行った。 さらに、上述した方法を統合して、実際のデータセンターネット上で動作できるようにするための基礎的検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の研究計画は以下の通りであった。 (1) 各リンクの伝送速度、ポートバッファサイズ、ユニットサイズが与えられた時、インキャトを回避し、かつ、スループットを最大化できる同時設定コネクション数を求めることができるように、従来のコネクション直列化法を拡張する。(2) (1)の拡張法をシミュレートできるように、従来のコネクション直列化法のためのシミュレータを拡張する。そして、これを使って、本研究の拡張法の有効性を検証する。(3) UNIXにおける従来のTCP実装を変更して、拡張コネクション直列化法をPCに実装したのち、数十台のPCからなる実験ネットワークを構築する。(4) (3)の実験ネットワーク上に、分散処理フレームワークであるHadoopとSparkを実装し、種々の実験を繰り返すことにより、実際のネットワークにおける拡張コネクション直列化法の有効性を確認する。 2021年度は、(2)が完了し、(3)と(4)の一部を実施した。特に、(3)と(4)を行うために、情報通信研究機構(NICT)と共同研究契約を結ぶことにより、NICTがサービス提供している大規模エミュレーション環境StarBEDを利用できるように、環境構築を行った。 当初の計画であれば、(3)と(4)が今年度で完了する予定であったので、「遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
拡張コネクション直列化法のシミュレータを使用して、この方法の有効性を検討するとともに、実際のPCにこの方法を組み込んで実験ネットワークを構築することにより、実際のネットワークでも、この方法が有効であることを実証する。この際、最小タイムアウト値を小さくした従来法およびその従来法をベースに筆者らが改良した方法との比較も行う。実験ネットワークとして、現在、1台のイーサネットスイッチと15台のPCからなるネットワークを既に構築し、その上で分散処理フレームワークHadoopとSparkが既に稼働しているが、この経験を活かして、StarBED上にHadoopとSparkを実装して大規模な実験ネットワークを構築することにより、拡張コネクション直列化法の有効性検証に利用する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、実験ネットワーク構築のための人員を割くことができず、PCやスイッチの購入をあきらめたので、そのための予算が余った。また、当初予定していた出張ができなくなってしまい、そのための旅費が余った。これらの予算は、令和4年度に、元々の使用目的のために、執行する予定である。
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Research Products
(1 results)