2020 Fiscal Year Research-status Report
Mitigation of highway traffic congestion using short-term traffic flow prediction from car probe information and velocity control
Project/Area Number |
19K11930
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
森野 博章 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (50338654)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 車両間通信 / 機械学習 / 交通流制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は渋滞が生じやすい道路区間内の,固定された2点を通過する車両速度の時系列実データを対象として,このデータをLSTMで予測する際の入力データの次元数について評価を行った.2020年度は通信機能と自動運転機能を持つ車両(以下,自動車両車両)と通信機能を持たない手動運転車両が混在している状況で,一定間隔でその車両の速度をエッジサーバに報告しn台以上の車両の速度がいずれもある閾値Vth[km/h]未満であれば渋滞の初期状態であると判断し待機時間α[sec]後に渋滞吸収運転を開始するモデルにおいて,渋滞解消効果を最も高くできるVthとαの値について交通流シミュレーションにより評価を行った.自動運転車両の比率が60%と高い場合はVth=60km/hよりVth=70km/hとする方が平均速度が向上し,またαについてはα=10[sec]とした場合に最も平均速度が高くなることが分かった.すなわち速度閾値を高く設定して速度低下の検知を早期に行う一方,渋滞吸収運転の開始を遅らすのが最適である.一方,自動運転車両の比率が30%と低い場合はVthの値によらず,αの値が大きいほど特性が劣化しα=0が最適となる.またVthの値は70km/hが最適であり,これより大きくても小さくても特性が劣化することが明らかとなった.自動運転車両の比率が低い場合は速度低下が始まってからn台の自動運転車両がサーバに報告するまでの時刻に時間差があり,渋滞吸収運転の開始を遅らせてもかえって制御の効果を低下させるためである.年度の後半では渋滞区間の手前で車線利用平準化を目的とした強制的な車線移動制御を行うモデルを対象として同様の評価を行い,渋滞を検知する速度閾値Vthの最適値を求めるとともに,車線移動制御を行う自動運転車両と制御を行わない手動運転車両の間で速度の不公正が生じないこともシミュレーションを通じて検証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では2020年度において,互いに比較的近い場所を走行するn台の車両の平均速度の時系列予測の結果に基づき渋滞の初期状態の検出を行う予定であった.予測手法として2種類を評価し,検出精度と検出後に行う渋滞吸収運転の効果(平均速度向上効果)の2つの指標で評価することを予定していた. 進捗としては,平均速度が閾値を下回った時点で渋滞の初期状態であると検出し,渋滞吸収運転の効果が確認できる閾値の範囲を評価するに留まっている.単純な閾値判定でもある程度有効性のある検出ができることが確認されたことは大きな成果であるが,より汎用性のある枠組みとして,速度の時系列予測による渋滞検出手法の評価も引き続き行っていく必要がある.評価尺度としては時系列予測の精度と,この手法で渋滞初期状態の検知を行いその後に渋滞吸収運転を行う場合の平均速度向上効果の2つを考えている. その他の点についてはおおむね計画通り進捗している.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は時系列予測の手法として機械学習と回帰の2つを評価する.前者にはLSTMを,後者にはガウス過程回帰を用いる.いずれの場合も,対象エリア内を走行する各車両について瞬時速度の時間変化を収集して時系列予測を行うシステム構成として,(1) 1カ所のサーバにすべての情報を集約しそのサーバが予測する方法 と (2) k箇所のエッジサーバを地理的に離して配置し,各車両の情報を最寄りのエッジサーバにのみ送って各サーバが個別に予測を行う方法 の2つを検討する.後者の方法では,各のエッジサーバが,学習を行う段階においてエッジサーバが管轄するエリア内を走行する車両から収集した速度情報のみで学習を行い,その結果得られる認識器の情報を統合して一つの認識器を構成するFederated Learningを用いる手法についても評価を行う.Federated Learningは学習の段階において処理負荷を抑えつつ,すべての教師データを用いて学習を行う方法と同程度の予測精度を実現できることが期待できる.時系列予測の精度を尺度とする評価を行った後,本方式により渋滞初期状態の検知を行い渋滞吸収運転と組み合わせる場合の速度向上効果について評価を行う.
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Causes of Carryover |
2020年度に執行を予定していた学会発表の旅費が学会がオンライン開催されたことで執行されずに終わったこと,ジャーナル論文投稿の予定がずれこんで出版費が執行されなかったことの2点が主な理由である.今年度も学会はほぼすべてオンライン実施される見込みのため,シミュレーションソフトウェアのライセンスの購入と実験に必要な物品購入に切り替えて執行する予定である.
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